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【長編洒落怖】渦人形

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292:本当にあった怖い名無し:2011/05/20(金)22:09:26.15ID:x83Y3WRH0
それでも俺は、笑い泣きしながら殴り続けていると、どこを殴ったのかよくわからないが、メキッ!という鈍い音がした。
その途端、俺の中の妙な感情が消えた。
消えたというか、急にシラケてしまったといえば良いのだろうか、とにかく人形に対するイラつきも、笑いたいという気持ちも、泣きたいという気持ちも、急になくなってしまった。
俺はその場にヘタり込み、友人たちやおじさんが
「……大丈夫か?」
と心配そうに近付いてきた。
人形はもう笑ってもいないし動きもしないが、燃えたままでは不味いので、友人たちとおじさんが砂を掛けて消していた。

294:本当にあった怖い名無し:2011/05/20(金)22:11:59.67ID:x83Y3WRH0
理由は分からないが、俺は何故か全て解決したような、そんな良い気分になっていた。
この騒ぎの中、お坊さん2人はずっとお経を読み続けていたらしい。
人形(もう殆ど残骸に近かったが……)の事は明日詳しく調べる事になり、箱に入れてお札を貼り、本堂に安置する事になった。
俺達はお坊さんの好意で、そのままお寺に泊まることにした。
翌朝。俺達は本堂に呼ばれた。
どうやら、お経のお陰なのか、俺がぶち切れたのが原因なのか、理由ははっきりしないが、どうも一応解決はしたらしい。
そして、人形はこのままこのお寺で供養する事になったのだが、結局この人形が何なのか、その辺りは謎のままだった。

296:ラスト:2011/05/20(金)22:14:30.18ID:x83Y3WRH0
ただ、燃え残った人形の胴体に、焼け焦げ消えかかった文字で、「寛保二年」という記述と、完全に燃えて文字数しかわからない作者の名前6文字、それと、はっきりとは分からないので、残っている文字の痕跡からの推測だが、「渦人形」という単語が読み取れた。
お坊さんが言うには、とにかく正体は不明だが、何らかの呪物である事はまちがいないらしい。
燃え残った残骸に、頭と動を繋ぐ棒の部分があったのだが、そこにびっしりと、何か呪術的な模様が書かれていた痕跡があるのが、確認できたとの事だった。
その後、今に至るまで、俺も含め当時のメンバーには、知る限り何も起こっていない。
お寺のお坊さんからは、人形の正体がわかったら連絡をくれるという話だったが、あれから数年経つが、未だその連絡も来ない。
多分空き家か民家っぽいけど、別荘か何かなんだろうと思われた。
友人が調子の乗って
「あとで探検いかね?」
と言い出したが、あまり遅くなると顧問の先生にドヤされるし、ひとまず買い出し終わってから、合宿所内で今後のことは考えよう、という話になった。

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