師匠シリーズ 長編

師匠シリーズ 長編

【長編洒落怖】きさらぎ駅

98:あなたのうしろに名無しさんが・・・:2004/01/0823:14気のせいかも知れませんがよろしいですか?99:あなたのうしろに名無しさんが・・・:2004/01/0823:16取りあえずどうぞ100:あなたのうしろに名無しさんが・・・:2004/01/0823:18>>98何がおきてるの?101:あなたのうしろに名無しさんが・・・:2004/01/0823:18先程から某私鉄に乗車しているのですが、様子がおかしいのです。104:あなたのうしろに名無しさんが・・・:2004/01/0823:19ふんふん107:あなたのうしろに名無しさんが・・・:2004/01/0823:23いつも通勤に...
師匠シリーズ

【師匠シリーズ】雲 後編

407:雲  後編 ◆oJUBn2VTGE:2013/09/06(金)22:25:48.72ID:kIaSDyGu0外は雨だ。額に、顔に、大粒の雫がかかる。雨脚はさほど強くないが、空を見上げようとしても、なかなか目を開けられない。それ以前に、真っ暗な空にはどれほど目を凝らそうとも何も見えなかった。目を細めていた師匠が「くそっ」と短く叫ぶと、家の中に取って返した。一分と経たずに飛び出してきたその手には、車の鍵が握られていた。「来い」師匠は僕にそう言うと、駐車場へと駆け出す。「こんな雨の中、どこ行くんです」僕は追いかけながら叫ぶ。心臓がドクドク言っている。さっきまでの穏やかな時間はどこに行った? ...
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【師匠シリーズ】雲 前編

386:雲 前編 ◆oJUBn2VTGE:2013/08/30(金)22:56:46.20ID:1HZDzmsI0師匠から聞いた話だ。大学二回生の夏だった。ある時期、加奈子さんという僕のオカルト道の師匠が、空を見上げながらぼんやりとしていることが多くなった。僕の運転する自転車の後輪に乗り、あっちに行けだのそっちに行けだのと王侯貴族のような振る舞いをしていたかと思うと、ふいに喋らなくなったので、そうっと背後を窺うと、顔を上げて空をじっと見ていた。「なにか面白いものがありますか」と訊くと、「……うん」とは答えるが、うわの空というやつだった。僕も自転車を止め、空を見上げてみたが雲がいくつか浮かんでい...
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【師匠シリーズ】本

862:本 ◆oJUBn2VTGE:2013/08/23(金)20:46:06.31ID:/4sM9Swo0大学四回生の冬だった。そのころの俺は、卒業に要する単位が全く足りないために早々と留年が決まっており、就職活動もひと段落してまったりしている同級生たちと同じように、悠々とした日々を送っていた。とは言っても、それは外面上のことであり、実際はぼんやりとした将来への不安のために、真綿でじわじわ締め付けられるような日々でもあった。親しい仲間と気の早い卒業旅行を終え、あとは卒論を頑張るだけだ、と言って分かれていく彼らを見送った後、俺の心にはぽっかりと穴のようなものが空いていた。変化しないことへの焦燥...
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【師匠シリーズ】心霊写真5

214:心霊写真5◆oJUBn2VTGE:2013/03/22(金)21:26:28.50ID:En49cf2N0市内に戻って来ると、もう夕方の五時を過ぎていた。陽も翳ってきている。「二手に分かれよう」師匠はそう言って、街なかで僕を車から下ろした。「わたしはちょっと調べることがあるから、先に家に帰ってる。お前は図書館で資料を借りて来てくれ。あと、スーパーに寄ってなにか買って来い。飯作ってやるから。おにぎりとパンしか食ってないから、腹が減ってかなわん」「事務所じゃなくて、家の方ですね」資料って、なにを借りて来たらいいのかと訊くと、角南家のことが分かる郷土史の類を借りられるだけ借りて来い、と言われ...
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【師匠シリーズ】心霊写真4

157:心霊写真4 ◆oJUBn2VTGE:2013/03/15(金)21:47:17.85ID:ArcSp/qC0「じゃあ、わしはこれで。でも、加奈ちゃん、頼むよ。ほどほどでね」住職が襖を開けて出て行こうとする。電球の明かりに、脂ぎったハゲ頭がやけに照り返している。夏雄とアキちゃんの父、黒谷正月(しょうげつ)は名前のとおり正月が誕生日という生まれついてのおめでたい男だった。親から寺を継いだものの、除霊だの焚き上げ供養だのといった胡散臭いことに商売っ気を出し、地元の檀家衆にも呆れられているそうだ。それだけでなく、麻雀やパチンコ、競輪に競艇といった賭けごとが大好きで、伝来の仏像を密かに質入れした...
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【師匠シリーズ】心霊写真3

127:心霊写真3 ◆oJUBn2VTGE:2013/03/08(金)21:00:22.68ID:j7MpCWDL0それから僕らは連れ立って小川調査事務所を後にした。師匠は「餅は餅屋だ」とだけ言って、行き先は告げなかった。僕はただそれについて行った。JRの駅に向かったので少しドキドキしたが、ロッカーには近寄りもせず、切符を買って改札を抜けた。一番安い切符だった。普通列車はさほど混んではいなかった、師匠が乗車口の近くで吊り革につかまって立っていたので、僕もそうする。どこへ行くのだろうと思っていると、出発のチャイムが鳴り出した。そしてドアが閉まり始めた瞬間だった。「降りるぞ」師匠はそう言いざま僕の...
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【師匠シリーズ】心霊写真2

90:心霊写真2 ◆9mBD/1hPvk:2013/03/01(金)22:57:01.62ID:fdt0E6Bd0ヤクザどもが去って行った後、小川さんはしばらくソファでぐったりしていたが、急に飛び起きると、慌てた様子でデスクについて仕事を片付け始めた。ホワイトボードのスケジュールに目をやると、所長は今日の午後三時半の飛行機で東京へ立つことになっていた。帰りは明日の午後九時となっている。なんだか慌しいが、仕事は人と会う用件が一つだけで、あとは友人の結婚式の二次会に参加するのが主な東京行きの目的らしい。書類の束をいくつかに分けながら、所長が顔を上げる。「加奈ちゃん、これ、請求書、て、あれ、そういや...
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【師匠シリーズ】心霊写真1

62:ウニ ◆oJUBn2VTGE:2013/02/23(土)23:26:56.27ID:dTAVLjsO0・A・ 次のお話はC82夏コミの同人誌に書いたものです。多分、全五回です。今夜は1回目だけです。63:心霊写真1 ◆oJUBn2VTGE:2013/02/23(土)23:28:22.68ID:dTAVLjsO0『心霊写真』師匠から聞いた話だ。大学二回生の春だった。僕はその日、バイト先である興信所に朝から呼ばれ、掃除と電話番をしていた。掃除は鼻歌をうたっている間に終わり、あとは電話番という不確かな仕事だけが残った。窓の方に目をやると、『小川調査事務所』と書いてあるシールがガラスに張り付いて...
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【師匠シリーズ】空を歩く男

668:空を歩く男 ◆oJUBn2VTGE:2012/09/01(土)23:03:50.75ID:itFWmvQ50(この話は、2011年の夏コミの時に、別サークルの同人誌に寄稿したものです)師匠から聞いた話だ。大学一回生の春だった。そのころ僕は、同じ大学の先輩だったある女性につきまとっていた。もちろんストーカーとしてではない。初めて街なかで見かけたとき、彼女は無数の霊を連れて歩いていた。子どもの頃から霊感が強く、様々な恐ろしい体験をしてきた僕でも、その超然とした姿には真似の出来ない底知れないものを感じた。そしてほどなくして大学のキャンパスで彼女と再会したときに、僕の大学生活が、いや、人生が決...