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師匠シリーズ

【師匠シリーズ】ビデオ 中編

913:ビデオ 中編 ◆oJUBn2VTGE:2009/02/14(土)22:59:37ID:0JItplbL0次の日、昼過ぎに目覚めた俺は師匠の家に電話をした。十回ほどコール音を聞いたあと、受話器を置く。続けて携帯に掛けるが、電源が切れているか、電波が届かない場所にいるらしいことしか分からなかった。仕方なく、昨日北村さんに聞いた元駅員という先輩の家を訪ねてみることにした。授業に出るという選択肢など、とっくに吹っ飛んでしまっている。財布の中を確かめて、買って持っていく日本酒の銘柄を決める。散財だ。ビデオが何本借りられると思ってるんだ。家を出て、自転車に乗る。陽射しが眩しい。ここ数日涼しかったの...
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【師匠シリーズ】ビデオ 前編

635:ウニ ◆oJUBn2VTGE:2009/02/08(日)00:00:16ID:OJtUna0I0ずいぶんと間が開きました。今回は時間が無く、変な改行もポリシーであった会話文内一マス落としも出来ていません。これらの作業は時間がかかる他にもいろいろと都合の悪いことがあるので、出来れば今後もサボりたいですが、もし読みにくいといったデメリットの方が大きければ考えます。636:ビデオ 前編 ◆oJUBn2VTGE:2009/02/08(日)00:03:40ID:3TBJnZvS0大学二回生の初夏だった。俺はオカルト道の師匠につれられて、山に向かっていた。「面白そうなものが手に入りそうだ」と言われ...
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【師匠シリーズ】怪物 幕のあとで

408:怪物 幕のあとで ◆oJUBn2VTGE:2008/08/04(月)00:09:14ID:/ZE8/Gio0疲れ果て、最後の気力を振り絞って自転車を漕いでいた私は、家まであと少しという場所まで来ていた。すべてが終わったという安心感と、なにもできなかったという無力感で、力が抜けそうになる足を叱咤してどうにか前に進んでいた。両側に家が立ち並ぶ住宅地だったが、街灯の数が足らないのか、いつも夜に通ると少し心細くなる一角だった。その暗い夜道の向こうに、緑色の光が見える。公衆電話のボックスだ。子どものころの経験から、お化けの電話と呼んでいる例の箱。今、その電話ボックスからヒトを不安にさせるような音...
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【師匠シリーズ】怪物 「結」下

324:怪物起承転「結」下 ◆oJUBn2VTGE:2008/08/03(日)22:31:29ID:ScuN9+/G0暗い。暗い気分。泥の底に沈んでいく感じ。私は、やけに暗い部屋に一人でいる。散らかった壁際に、じっと座ってなにかを待っている。やがて外から足音が聞こえて私は動き出す。玄関に立ち、ドアに耳をつけて息を殺す。暗い気持ち。殺したい気持ち。足音が下から登ってくる。私はその足音が、母親のだと知っている。やがてその音がドアの前で止まる。ドンドンドンというドアを叩く振動。背伸びをして、チェーンを外す。そしてロックをカチリと捻る。手には硬い物。私の手に合う、小さな刃物。ドアが開けられ、ぬうっと、...
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【師匠シリーズ】怪物 「結」上

265:長くなったので  ◆oJUBn2VTGE:2008/08/03(日)01:42:25ID:ScuN9+/G0「結」は二つに分けました。こんな時間ですが、「結」上を投下します。「結」下は今夜。たぶん、いけると思う。現在、変な改行に精を出しています。もし起きている人がいたら支援をお願いします。20レスくらいの予定。267:怪物 起承転「結」上  ◆oJUBn2VTGE:2008/08/03(日)01:44:23ID:ScuN9+/G0その日の放課後、私は3年生の教室へ向かった。ポルターガイスト現象の本を貸してくれた先輩に会うためだ。廊下で名前を出して聞いてみるとすぐに教室は分かった。先輩は...
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【師匠シリーズ】怪物 「転」

21:怪物 起承「転」結  ◆oJUBn2VTGE:2008/07/21(月)00:48:03ID:qlom6ToI0図書館からの帰り道、私はクレープを買い食いしながら商店街の路地に佇んでいた。夕焼けがレンガの舗装道を染めて、様々なかたちの影を映し出してる。道行く人の横顔はどこか落ち着かないように見える。みんな心の奥深い場所で、説明しがたい不安感を抱いているようだった。そう思った私の目の前を女の子たちの笑い声が通り過ぎる。息を吐いて、最後の一口を齧る。どの人の表情も、私の心の投影なのかも知れない。ロールシャハテストだ。笑い顔以外に、すれ違うの人の気持ちを理解できる機会なんてまずないんだから。結...
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【師匠シリーズ】怪物 「承」

807:怪物 起「承」転結  ◆oJUBn2VTGE:2008/07/10(木)20:54:08ID:lK8rj6z40怖い夢を見ていた気がする。朝の光がやけに騒々しく感じる。天井を見上げながら、両手を頭の上に挙げて伸びをする。自分が嫌な汗を掻いていることに気づく。掛け布団を跳ね除けて身体を起こす。夢の残滓がまだ頭の中に残っている。現実の眼は閉じられていたのに、視覚情報として記憶に刻み込まれた夢の光景。今まで不思議だとは思わなかったのに、今日はそれが酷く奇妙なことに思えた。夢の中で私は、やけに暗い部屋に一人でいる。散らかった壁際に、じっと座ってなにかを待っている。やがて外から足音が聞こえて私は...
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【師匠シリーズ】怪物 「起」

654:怪物  「起」承転結  ◆oJUBn2VTGE:2008/07/06(日)21:18:08ID:JJl4aZ230京介さんから聞いた話だ。怖い夢を見ていた気がする。薄っすらと目を開けて、シーツの白さにまた目を閉じる。鳥の鳴き声が聞こえない。息を吐いてから、ベッドから体を起こす。静かな朝だ。どんな夢だっただろうと思い出しながら記憶を辿ろうとする。すると「スズメは魂を見ることができる」という話がふと頭に浮かんだ。どこかの国の伝承で、スズメは生まれてくる前の人間の魂を見ることができるという。朝、スズメがさえずるのはその生まれてくる魂に反応しているのだと。その魂がやってくる場所が空っぽになって...
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【師匠シリーズ】三人目の大人

626:三人目の大人  ◆oJUBn2VTGE:2008/07/10(木)20:33:33ID:lK8rj6z40小学校2年生の教室で、図工の時間に『あなたの家族を描いてね』という課題が出た。みんなお喋りをしながら色鉛筆で画用紙いっぱいに絵を描いた。原っぱにお父さんとお母さんと女の子がニコニコ笑いながら並んでいる絵。スベリ台のようなものに乗って遊んでいる子ども二人を、お父さんとお母さんが見ている絵。お父さんとお母さんだけではなく、おじいちゃんおばあちゃんも一緒に並んでいる絵。飼っている猫や犬も一緒に描いている子が多かった。その年代の子どもはペットも家族の一員という認識が強いのだろう。授業が終わ...
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【師匠シリーズ】古い家

534:古い家  ◆oJUBn2VTGE:2008/06/29(日)00:01:09ID:quV+YcYD0聞いた話である。「面白い話を仕入れたよ」師匠は声を顰めてそう言った。僕のオカルト道の師匠だ。面白い話、などというものは額面どおり受け取ってはならない。「県境の町に、古い商家の跡があってね。廃墟同然だけど、まだ建物は残ってるんだ。誰が所有してるのかわからないけど、取り壊しもせずに放置されてる。誰も住んでいないはずのその家から夜中、この世のものとは思えない呻き声が聞こえるっていう噂が立ってね。怖がって地元の人は誰も近寄らない。どう、興味ある?」大学2回生の夏だった。興味があるのないのというハ...