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師匠シリーズ

【師匠シリーズ】先生 前編

511:ウニ ◆oJUBn2VTGE:2009/08/21(金)22:54:43ID:YUHlb2rI0(´・ω・`) やあ。恐れていたようにおもいきり忙しいよ。たぶん9月上旬まで身動きが取れないよ……毒……(´・ω・`) だからツナギに前に書いたお話をするよ。同人誌に載せた話だよ。512:先生 前編 ◆oJUBn2VTGE:2009/08/21(金)22:58:57ID:YUHlb2rI0師匠から聞いた話だ。長い髪が窓辺で揺れている。蝉の声だとかカエルの声だとか太陽の光だとか地面から照り返る熱だとか、そういうざわざわしたものをたくさん含んだ風が、先生の頬をくすぐって吹き抜けて行く。先生の瞳は...
師匠シリーズ

【師匠シリーズ】墓

734:墓◆oJUBn2VTGE:2009/08/16(日)11:08:59ID:yWlHCO0/0暑い。我慢ができなくなり、上着を脱いで腰に結んだ。一息ついて山道を振り返る。林道が何度も折れ曲がりながら山裾へ伸びている。下の方にさっき降りたバス停が見えるかと思ったけれど、背の高いスギ林に隠されてしまっていた。右手に握り締めた紙が汗で柔らかくしなっているのがわかる。街を出るときは今日は冷えそうだと思ってそれなりの服装をしてきたのに、思いのほか強い日差しと山道の傾斜が日ごろ運動不足の身体を火照らせていった。「よし」たった一人だ。誰に咎められるわけでもないけれど、早く先へ進もうと思った。足を踏み出...
師匠シリーズ

【師匠シリーズ】指さし

83:指さし◆oJUBn2VTGE:2009/06/21(日)00:06:05ID:m2hpAMu/0小学校のころ、海沿いの青少年の家でクラス合宿があった。近くの神社までの道を往復するという肝試しをしたあと、あとは寝るだけという時間帯がやってきた。怖い思いをした直後の妙なテンションのせいか、僕らは男女合わせて八人のグループで建物の一階の奥にある談話室に集まった。消灯はついさっきのことだったので、まだ先生が見回りにくる可能性があったが、見つかったらそのときだ、と開き直っていた。なぜならその中に一人、怪談話の得意なやつがいたのだ。普段は目立たないのに意外な才能というのか、とにかく彼の話す怖い話は訥...
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【師匠シリーズ】すまきの話

922:すまきの話◆oJUBn2VTGE:2009/06/20(土)22:45:31ID:sgJKT7Op0学生時代の秋だった。朝や夕方のひとときにかすかな肌寒さを覚え始めたころ。俺はある女性とともにオカルト道の師匠の家を襲撃した。周囲の住宅も寝静まった夜半である。アパートの一室から光が消えているのを確認した上で、足音を殺しながらドアの前に立つ。ノブを捻るとあっさりと手前に開いていく。鍵が掛かっていないのは分かっていた。そろそろと暗い部屋の中に入り込み、布団にくるまっている師匠を見下ろす。二人で目配せをした後、持参したロープを上手に布団の下に這わせ、慎重に準備を整える。そして一気にロープを引っ...
師匠シリーズ

【師匠シリーズ】プール

21:プール◆oJUBn2VTGE:2009/06/19(金)22:43:16ID:fg91v0gN0太陽の中に水しぶきが跳ねた。それが一瞬キラキラと輝き、眩しさに目を細める。空には雲が一つだけ浮かんでいる。目に見えない大気の層の向こうにまっさらな青い色が伸びていて、プールサイドのベンチに仰向けになっている僕にも、突き刺すような日差しとともに生ぬるい風が頬を撫でてくる。「ひと、いませんねえ」「……なにか、言ったか」水音を涼しげに響かせながら師匠が腕を止める。大学一回生の夏だった。午前中、ダラダラと師匠の部屋で無駄話をしていたが、あまりに暑いので昼下がりに二人連れ立って市内のプールへやってきたの...
師匠シリーズ

【師匠シリーズ】携帯電話

247:携帯電話◆oJUBn2VTGE:2009/06/07(日)00:26:20ID:PyPRRLYk0大学二回生の夏だった。俺は凶悪な日差しが照りつける中を歩いて学食に向かっていた。アスファルトが靴の裏に張り付くような感じがする。いくつかのグループが入口のあたりにたむろしているのを横目で見ながらふと立ち止まる。蝉がうるさい。外はこんなに暑いのに、どうして彼らは中に入らないのだろうと不思議に思う。学食のある二階に上り、セルフサービスで適当に安いものを選んでからキョロキョロとあたりを見回すと、知っている顔があった。「暑いですね」カレーを食べているその人の向かいに座る。大学院生であり、オカルト道...
師匠シリーズ

【師匠シリーズ】依頼

881:依頼◆oJUBn2VTGE:2009/06/06(土)23:27:28ID:+FnIW24p0師匠から聞いた話だ。大学一回生の秋だった。僕は加奈子さんというオカルト道の師匠の家に向かっていた。特に用事はないが、近くまで来たので寄ってみようと思ったのだ。交差点で信号待ちをしていると、道路を挟んだ向こうにその師匠の姿を見つける。少し遠いのと珍しく車がバンバン通っているので、呼びかけても気づかない。その師匠は去って行くでもなく、電信柱のそばで立ち止まったまま動いてない。どうしたんだろうと目を凝らすと、電信柱の根元のあたりになにか落ちていて、それを見下ろしているらしかった。どうもビニール袋に入...
師匠シリーズ

【師匠シリーズ】賭け

323:賭け◆oJUBn2VTGE:2009/03/15(日)21:31:13ID:kR+moc+u0大学三回生の春。すでに大学のあらゆる講義に出席する気を失っていた俺は、それまで以上にバイトとギャンブルを生活の中心に据えていった。ギャンブルと言っても、競艇や競輪などのオッサン向けのものではない。それらよりも情報を得やすく、学生仲間の関心も高かった競馬。そして手軽に出来る麻雀やパチンコだ。特にパチンコは、イベントのある日に何故か風邪を引いてバイトを急遽休まざるを得なくなるという実にハタ迷惑な体質を発揮して、バイト仲間に見つからないようにコソコソと通ったりしたものだった。ある日、足が遠ざかりつつ...
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【師匠シリーズ】引き出し

137:引き出し やりなおしorz◆oJUBn2VTGE:2009/02/22(日)22:55:25ID:vbLvaS0Q0大学三回生の夏だった。早々にその年の大学における全講義不受講を決めてしまった俺は、バイトのない日には暇を持て余していた。特に意味もなく広辞苑を一ページ目から半分くらいまで読破してしまったほどだ。全部をやりとげないあたりがまた俺らしい。ともかくそんな屈折した毎日に悶々としていたある日、知り合いから呼び出しを受けた。かつて、都市伝説などを語らう地元の噂系フォーラムに出入りしていた時に出会った、音響というハンドルネームの少女だ。このあいだまで別の名前でネット上にいたらしいが、「...
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【師匠シリーズ】ビデオ 後編

76:「ビデオ」これまでのあらすじ:2009/02/22(日)13:30:11ID:V+ulYumq0・前編ワケあり物件を横流ししてくれる悪徳坊主から5万で買い取った「やばいビデオ」。そこには列車に飛び込むコートを着た人物が映っていた。これは投身自殺の瞬間を写したビデオなのだろうか。調べてみると事実その場所その時間に人身事故は起きていた。犠牲者の名前は「サトウイチロウ」。・中編驚くべき事が判明した。「サトウイチロウ」は、昭和の時代から、いくつもの駅で、何度も轢死体として処理されていた。各地で見つかる「サトウイチロウ」の轢死体。しかし「サトウイチロウ」の飛び込む瞬間を見たものは誰もおらず、生前の...