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【洒落怖】立っている女

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308 :友人A:03/09/12 03:37
私の携帯にある友人Aから、一年ぶりくらいに電話がありました。
なにやら相談してほしい事があるらしいのです。
正直不思議でした。他の友人の又聞きですが、Aは精神を病んで実家で療養中だからです。
私は仕事中だったので、仕事が終わった後にとある駅で落ち合う約束をしました。

しかし、仕事が思ったより長引いて、私は約束の時間に間に合いませんでした。
電話をかけても繋がらないので、一応待ち合わせ場所に向いました。
そこにはAはいませんでした。
私はお腹が空いたので、近くのラーメン屋に行きました。

そして、注文して待ってる間に電話がありました。
それはAからでした。
私はなにか不思議に感じましたが、遅れたことを謝りました。
しかしAは、「いや、待ってたんだけど・・」と言います。
あれ?待ち合わせ場所を間違えたのかな?と思い、再度場所を待ち合わせ確認しました。
しかしAは、「じゃ、家の方に行くから」と言いました。
しかし、それでは帰りは終電に間に合わないだろうと思い、明日の夜に会うのでは駄目か?と聞きました。
あまり煮え切らない態度でしたが、了解してくれたようでした。

309 :友人A:03/09/12 03:40
その日の深夜2時頃に家の電話が鳴りました。
正直な所、熟睡していた所を起こされ少し腹が立ちました。
私は名前も告げずに「どちらさまですか?」と言いました。
しかし返答はなく、ボソボソと聴き取りづらい声が聞こえます。
ザーザーと雨のような音も聞こえます。しかし雨は降っていません。
それは女性の声だと思います。
『ボソボソ・・・』と同時に、ツ-ツ-と電話は切れました。
間違い電話かいたずら電話か知りませんが腹が立ちました。
少し気味が悪い感じもしましたが、また私は眠りにつきました。

気持ちよく寝ていたのですが、私は急に目が覚めました。
反射的に時計を見ると、眠りについてからまだ30分も経っていませんでした。
また眠ろうとしたのですが、今度はなかなか寝つけません。
すると廊下から、何か引きずるような音が聞こえるのです。
夜中でもいつも人の出入りする音は聞こえますが、引きずるような音は初めてでした。
気味が悪いです。ズルズル~ズルズル~と聞こえるんですから。
あとポチャポチャと、水滴の垂れるような音もしました。
しかもその音は、だんだん私の部屋の前に近付いてきます。
私の頭の中でさっきの気味の悪い電話とその音が繋がって、妙に恐くなりました。
私は布団の中で息を殺してその音を聞いていました。
その音は私の部屋の前で止まりました。

310 :友人A:03/09/12 03:44
ドアを開けて確かめるか否か。
私は迷いましたが、思いきってドアの方に向いました。
台所に出て電気を付けました。
そしてドアの方に顔を向ける瞬間、部屋の方に何か見えた気がします。
見直すと、部屋の角の鏡が置いてある所に人らしきものが立っています。
目の錯覚かと思いマジマジと見ましたが、やはり人の後ろ姿です。
下半身は光りが届いているので見えますが、上の方は暗くてぼんやりとしか見えません。
体も硬直して動けません。声も出ず息をするのがやっとです。
私はこれが金縛りなのかと思いました。
後ろ姿なので顔は見えませんが、すごく睨まれてる気がしてしょうがないのです。

それからしばらく沈黙が続きました。時間は分かりませんが非常に長く感じました。
私は必死に相手を睨みました。
その相手は女性だったと思います。丈は膝までの赤っぽいスカートが見えました。
すねの下くらいから足がありません。色は白く、普通よりは細い感じがしました。
上半身はよく見えませんが、シルエットはぼんやりと見えました。
髪は背中まであるロングで、濡れている感じがします。
足を肩幅ぐらいに開いて立っていて、手はまっすぐと垂らしてました。
それは確かに人の形をしていました。
しかし、無機質というか、言葉では言い表せません。
声も出ず体も動かず、私はただ必死に睨んでいました。

ふと気がつくと、コンコン、コンコン、とドアを誰かがノックしていました。
首も動かないのですが、台所の窓を横目で見ると人陰があります。


311 :友人A:03/09/12 03:46
そのノックする人陰も初めは恐かったです。
長い間、ノックの音は続きました。
そしてその影が動いた時に、しまった!と思いました。
普通の人の足音と気配がしたからです。
その音はだんだん小さくなりました。
その間、女の影から目を離していたのに気がつきました。
恐る恐る視線を戻しましたが、そこには誰もいませんでした。
急に体が軽くなった瞬間に、腰が抜けてその場にへたりこみました。
頭が混乱しボーっとしていました。
そして、そのまま朝を迎えました。
その日は仮病を使って仕事を休みました。
なんとか我にかえったものの、依然ボーっとしていました。

昼頃にAとの約束を思い出しました。
予定は夜でしたが、今すぐに誰かに相談したかったのです。
あとAの相談の内容も気になるし、病気は直ったのかも分からなかったからです。
Aは実家で療養中だとの噂なので、仕事もしてはいないだろうと思い、早速電話をかけました。
しかし、Aの携帯にかけたはずなのですが、Aの父親らしき人が電話に出ました。
そしてAの父親の話を聞いた時、私はショックで頭が真っ白になりました。
Aが自殺したと言うのです。
・・・私は少し迷いましたが、前日に相談を持ちかけられていたので、
「今から伺っても良いですか?」と聞きました。
Aの父親は少し考えていましたが、了承してくれました。

Aの実家には車で一時間くらいかかりました。(私の地元でもあります)
私は応接間へと案内されました。
そこでAの母親から聞いた話ですが、夜中に一人出掛けたAは、4時少し前に帰ってきたらしいのです。
朝になって、母親がAの部屋を覗くと、Aは血だらけになって倒れていたというのです。
私はハッとなりました。あのノックはAだったのかもしれない・・・。
しかし、それをAの両親に話すには、あの晩の女の事にも触れなければならないと思い止めました。

312 :友人A:03/09/12 03:47
帰る間際、ずっとトイレに行ってなくて、駅まで持ちそうもなかったので、Aの家のトイレを借りました。
トイレから応接間に戻る途中、少しふすまが開いている部屋がありました。
10cm開いてるか開いてないかですが、嫌な気分になりながらも隙間から覗いてしまいました。
やはり見ない方がよかったかもしれません・・・。
血が辺りに飛び散っていました。Aは文字どおり壮絶な最後を遂げたのでしょう。
私は心からAの成仏を願いました。
しかし、何か妙に不思議な感じがします。
Aの部屋のテレビに目を移した時、モニターには光りの反射で部屋が映っているのですが、
不自然な位置に、よく見ると人のようなものが映っているです。
部屋には誰もいない。目の錯覚かとよく見ても、やはりそこにいる。
あのスカートには確かに見覚えがあります。
私はとっさに、あの夜の女だと思いました。
モニターには後ろ姿が映っています。
私は当然、テレビとは直線上にいるのですが、普通そこに人が立っていたら、テレビ全体が見えるはずがない。
しかし、モニターには後ろ姿が映っている・・・。
しかも、部屋には私以外いない。
私はとっさに応接間に走りました。Aの家族は不思議そうな顔で私を見てました。
私は足早にAの家を後にしました。

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