師匠シリーズ

【師匠シリーズ】血 後日談

813名前:血  後日談2006/08/28(月)22:09:47ID:9j0TgqFm0大学1回生の秋。借りたままになっていたタリスマンを返しに京介さんの家に行った。「まだ持ってろよ」という思いもかけない真剣な調子に、ありがたくご好意に従うことにする。「そういえば、聞きましたよ」愛車のインプレッサをガードレールに引っ掛けたという噂が俺の耳まで流れてきていた。京介さんはブスッとして頷くだけだった。「初心者マークが無茶な運転してるからですよ」バイクの腕には自信があるらしいから、スピードを出さないと物足りないのだろう。「でもどうして急に車の免許なんか取ったんですか」バイカーだった京介さんだが、短期...
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【師匠シリーズ】血 後編

795名前:血  後編2006/08/28(月)21:37:35ID:9j0TgqFm0はじまりはただの占いだったという。女の子であれば、小学生や中学生のときにハマッた経験はあるだろう。高校になっても占いに凝っている子となれば、占いの方法もマニアックなものになり、ちょっと傍目にはキモいと言われたりする。京介さんもそのキモい子の1人で、タロットを主に使ったシンプルな占いを休み時間のたびにしていたそうだ。やがて校内で一過性の占いブームが起きて、あちこちで占いグループが生まれた。子どもの頃から占い好きだった京介さんはその知識も豊富で、多くの生徒に慕われるようになった。タロットやトランプ占いから、ホロ...
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【師匠シリーズ】血 前篇

428血   前編ウニ2006/06/03(土)12:12:03ID:3rNkYIQb0大学1回生のとき、オカルト道を突き進んでいた俺には師匠がいた。ただの怖い物好きとは一線を画す、得体の知れない雰囲気を持った男だった。その師匠とは別に、自分を別の世界に触れさせてくれる人がいた。オカルト系のネット仲間で、オフでも会う仲の「京介」さんといいう女性だ。どちらも俺とは住む世界が違うように思える、凄い人だった。師匠のカノジョも同じネット仲間だったので、その彼女を通じて面識があるのかと思っていたが、京介さんは師匠を知らないという。俺はその二人を会わせたらどういう化学反応を起こすのか、見てみたかった。そこ...
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【師匠シリーズ】顔

423顔ウニ2006/06/03(土)12:07:12ID:3rNkYIQb0大学1回生の冬。大学生になってからの1年弱、大学の先輩であり、オカルト道の師匠でもある人と様々な心霊スポットへ足を踏み入れた俺だったが、さすがに寒くなってくると出不精になってくる。正月休みにめずらしく師匠が俺の下宿に遊びに来た。とくにすることもないので、コタツにもぐりこんで俺はゲームボーイを、師匠はテレビをぼーっと見ていた。ふと、師匠が「あれ?」と言うので顔を向けると、テレビにはダイバーによるどこかの海の海底探査の様子が映っていた。「この石像って、あ、消えた」すぐに画面が切り替わったが、一瞬だけ見えた。地中海のエジプ...
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【師匠シリーズ】超能力

941超能力  1/9ウニ2006/02/22(水)23:45:38ID:CqBHiC0Y0大学時代、霊感の異常に強いサークルの先輩に会ってからやたら霊体験をするようになった俺は、オカルトにどっぷり浸かった学生生活を送っていた。俺は一時期、超能力に興味を持ちESPカードなどを使って、半ば冗談でESP能力開発に取り組んだことがあった。師匠と仰ぐその先輩はと言えば、畑違いのせいか、超能力なんていうハナシは嫌いなようだった。しかし信じてないというわけではない。こんなエピソードがある。テレビを見ていると、日露超能力対決!などという企画の特番をやっていた。その中でロシア人の少女が目隠しをしたまま、箱に密...
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【師匠シリーズ】雨

934雨   1/7ウニ2006/02/22(水)23:37:54ID:CqBHiC0Y0大学1回生の夏ごろ。京介さんというオカルト系のネット仲間の先輩に不思議な話を聞いた。市内のある女子高の敷地に夜中、一箇所だけ狭い範囲に雨が降ることがあるという。京介さんは地元民で、その女子高の卒業生だった。「京介」はハンドルネームで、俺よりも背が高いが、れっきとした女性だ。「うそだー」と言う俺を睨んで、じゃあ来いよ、と連れて行かれた。935雨   2/7ウニ2006/02/22(水)23:38:37ID:CqBHiC0Y0真夜中に女子高に潜入するとは、さすがに覚悟がいったが、建物の中に入るわけじゃなかった...
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【師匠シリーズ】将棋

910将棋  1/8ウニ2006/02/22(水)20:03:27ID:CqBHiC0Y0師匠は将棋が得意だ。もちろん将棋の師匠ではない。大学の先輩で、オカルトマニアの変人である。俺もまた、オカルトが好きだったので、師匠師匠と呼んでつきまとっていた。大学1回生の秋に、師匠が将棋を指せるのを知って勝負を挑んだ。俺も多少心得があったから。しかし結果は惨敗。角落ち(ハンデの一種)でも相手にならなかった。1週間後、パソコンの将棋ソフトをやり込んでカンを取り戻した俺は、再挑戦のために師匠の下宿へ乗り込んだ。結果、多少善戦した感はあるが、やはり角落ちで蹴散らされてしまった。感想戦の最中に、師匠がぽつりと言...
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【師匠シリーズ】魚

902魚  1/7ウニ2006/02/22(水)19:55:14ID:CqBHiC0Y0別の世界へのドアを持っている人は、確かにいると思う。日常の隣で、そういう人が息づいているのを僕らは大抵知らずに生きているし、生きていける。しかしふとしたことで、そんな人に触れたときに、いつもの日常はあっけなく変容していく。僕にとって、その日常の隣のドアを開けてくれる人は二人いた。それだけのことだったのだろう。大学1回生ころ、地元系のネット掲示板のオカルトフォーラムに出入りしていた。そこで知り合った人々は、いわば、なんちゃってオカルトマニアであり、高校までの僕ならば素直に関心していただろうけれど、大学に入って...
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【師匠シリーズ】麻雀

898麻雀1/4ウニ2006/02/22(水)19:51:17ID:CqBHiC0Y0師匠は麻雀が弱い。もちろん麻雀の師匠ではない。霊感が異常に強い大学の先輩で、オカルト好きの俺は彼と、傍から見ると気色悪いであろう師弟関係を結んでいた。その師匠であるが、2、3回手合わせしただけでもその実力の程は知れた。俺は高校時代から友人連中とバカみたいに打ってたので、大学デビュー組とは一味違う新入生としてサークルの先輩たちからウザがられていた。師匠に勝てる部分があったことが嬉しくて、よく麻雀に誘ったが、あまり乗ってきてくれなかった。弱味を見せたくないらしい。1回生の夏ごろ、サークルBOXで師匠と同じ院生の先...
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【師匠シリーズ】鍵の行方

9671/5ウニ2006/01/21(土)11:43:38ID:9bX5hJte0大学2回生の夏休み。オカルトマニアの先輩に「面白いものがあるから、おいで」といわれた。師匠と仰ぐその人物にそんなことを言われたら行かざるを得ない。ノコノコと家に向かった。師匠の下宿はぼろいアパートの一階で、あいかわらず鍵をかけていないドアをノックして入ると、畳の上に座り込んでなにかをこねくり回している。トイレットペーパーくらいの大きさの円筒形。金属製の箱のようだ。表面に錆が浮いている。「その箱が面白いんですか」と聞くと、「開けたら死ぬらしい」この人はいっぺん死なないとわからないと思った。「開けるんですか」「開けた...