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【長編洒落怖】一つの村が消えた話

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77: 伝者 2014/12/19(金) 19:43:20.67 ID:Q9WITJsub
俺はAを抱え、二階の階段を降りる直前、

A「俺君!、後ろ!!」

俺は後ろを向いた。

男性障者「OmyいえkrOOOOOOsrあcjんじcjぞscjじおn」

後ろには、首を吊ったままこちらを見つめる黒い何か、
いや、男性障者が俺には聞き取る事の出来ない言葉を発している。

俺「○○○~!!!」

俺は神主から教わっていた真言を唱えた。
だが、男性障者はこっちに近づいてくる。

俺「何だよ!!!!!」

俺はAを抱えたまま、後ろに下がって行く。

A「△△△~!!!」

その時、Aが俺の知らない真言を唱えた。

男性障者「んこvそkvmぢんヴぉzm???????」

男性障者の身体が痙攣しているように見える、
俺はAを抱えたまま、階段を駆け下りた。
そして俺達は小屋を抜け出した。

78: 伝者 2014/12/19(金) 19:44:32.45 ID:Q9WITJsubB
「おい俺!!!速く行くぞ!!!」

俺「ああ!」

俺達は獣道を走っている、

女性障者「あああああああああああああああ・・ああああああああああああ」

俺「来たか」

B「○○○~!!!」

女性障者「あああああ・・・・・ああ・・あ・・・・・・・・・・」

Bが教わった真言を唱えると、
女性障者は姿を消した。
女性の方には効くようだ。

79: 伝者 2014/12/19(金) 19:45:19.89 ID:Q9WITJsubB
「効いたみたいだな」

?「ポーン・・・・・・・・・・ポーン」

聞いた覚えのある音、嫌な予感がする。

女性障者「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

突然、女性障者が雄たけびをあげながらBの足元から出現し、Bの脚を掴んだ。

80: 伝者 2014/12/19(金) 19:46:31.61 ID:Q9WITJsub
俺「B!!!!!!!」

B「俺!!!!!先に行け!!」

Bはそのまま、そのまま女性障者に引きずられて行った。
Bを後で必ず助けると誓って、俺はひたすら走った。
神主一族の下へ着いた。

神主「よく戻ってきた!!、B君は?」

俺「捕まった、俺とAを逃がすために」

神主「そうか」

神主一族「Aをすぐに本殿へ!!」

俺と神主、神主一族は直ぐに村に戻った。
そこで、ある事を村人から神主へ伝えられる。

81: 伝者 2014/12/19(金) 19:47:32.92 ID:Q9WITJsub
村人「B一族が先程、この村を出て行った」

神主「!?」

神主一族「禁を破るとはな」

村人の話を纏めると、
神主一族が村から障芽池に行っている間にその隙を付いて、B一族全員が車に乗り、村の出入り口の封鎖を強行突破したそうだ。
今日は辿静祭当日であり、村から出ることは第二の禁を破った事になる。
B一族が村を出て行った理由は、恐らくは村八分による追放を恐れた為だと考えられた。


82: 伝者 2014/12/19(金) 20:00:22.68 ID:Q9WITJsub
俺は、自分の息子で跡取りでもある子孫の帰りもまたずに、この村を保身の為に逃げて行ったB一族が、正直、罰でも当たればいいのにっと思っていた。

八月十五日 辿静祭当日 午前六時
神社の本殿へと通されたAは、身体の穢れを消滅させる為の禊を行う用意がされた滝へと向かった。
禊にはAの両親が付き添うらしい。
俺はその間、本殿へともう一度呼ばれ、神主一族の方と話をする事になった。

神主一族「単刀直入に言わせて貰うが、B君についてだが、恐らくはもう手遅れだろうと思う。
Aは若い女性と言う点が障者に取っては生かす利点になった為、監禁され、遊ばれる程度で済んだかも知れないが、B君は若い男性だ。
男性障者に取って、男性は邪魔にしかならない。
その部分だけで、B君は殺されるだろうからな」

俺は助けると誓った時、薄々感じてはいた。
もうBを救う事は出来ないのでは無いかっと。
俺は分かっていながらも、親友を失った事に涙した。

神主一族「彼の魂は、あの小屋に永遠に留まり続けるだろう。
彼はあの小屋で「第二の男性障者」となる。
我々に障者はどうする事も出来ない、あの存在は既に輪から外れた存在なんだよ」

神主一族「君がまだ、あの小屋に呼ばれているのならば、もう一度小屋に行けば会えるだろうな。
だが、今度は確実に君は殺されるよ?
それに、君が死ねばAは一人になるんだよ?
その事を忘れずに」

俺は泣きながらも、泣いても済む問題では無いと分かっていた。
神主一族は、俺の聞きたかった事を全て話てくれた。
俺が死ねば、Aは一人になる。
Bには悪いが、俺は死ぬわけにはいかない、そう思った。
この時、自分が非道だと初めて認識した。

83: 伝者 2014/12/19(金) 20:17:46.75 ID:Q9WITJsub
八月十五日 辿静祭当日 午前十時
Aの禊が終わり、障者によって障られた部分、簡単に言えば身体全体の清めが始まった。
Aと俺は全裸に白装束を纏った状態で、祝詞の途中で何度も冷水を身に浴びる。
Aは途中で涙ぐんでいる所もあったが、三時間の清めを乗り切った。
最後、自分の身体から何かが消えていくように体全体が軽くなった。

84: 伝者 2014/12/19(金) 20:19:41.10 ID:Q9WITJsub
清めを終えた俺は、神主からAの事について教えて貰った。

神主「Aや君の穢れ障りは、これで完全に消滅した。
Aについてだが、身体の至る所から障りが抜けて行くのを私は見た。
恐らくあの小屋では監禁と同時に、暴行に近い行為を何度もさせられたのだ」

当然の事だが、神主の手は怒りに震えていた。
俺に何故、その話をしたのかを神主は語った。

神主「何れ君がAの傍に付いて、正しい判断を下す時がくるだろう。
Aは君の身を気に掛ける。
今度こそ、君が正しい判断をする事を私に誓ってくれ」

俺は神主の予言めいた言葉を聞き、今度こそAを守ると強く誓った。

85: 伝者 2014/12/19(金) 20:22:55.52 ID:Q9WITJsub
八月十五日 辿静祭当日 午前十一時
清めが終わった後、飯を食べ終わった俺とAは、神主一族の屋敷つまりAの家で寛いでいた。
Aが小屋に囚われる直前以来、俺はAと会話をしていない。
俺から話を切り出して見る事にした。

俺「あのさ、暇だから花札やろう?」

A「良いよ、こいこいね?」

俺「ああ!」

やっとまともな会話が出来た!。
この後花札をやりながら、昨日の夜、
つまり障芽池の森に入った時から、今日の清めが終わるまでの記憶が全く無かった事や、昼食を食べている時から、幽霊の様な存在が見える様になった事を聞いた。
小屋での記憶が無くとも、Aは心身ともに傷付けられたことには変わりない。
これを生涯の教訓にすると、AにそしてBに誓った。
Aは両親から、Bは家族と共に引っ越したと伝えられていた。

86: 伝者 2014/12/19(金) 20:26:25.02 ID:Q9WITJsub
八月十五日 辿静祭当日 午後三時
神社の神楽殿の前に、神主によって村人全員に召集が掛けられた。
重要な話だそうだ。
俺とAも神楽殿の前に向かった。

神主「突然だが、今年の辿静祭を中止する。
ここまで用意をしてくれた皆には感謝するが、昨日から予想外の事が多発している。
鬼小屋絡みの件、B一族の逃亡の件、森の祠の中の霊石が破壊されていた件だ。
森の祠の件についてだが、私は昨日の朝、再封印の為に森の祠に行った。

その時は、森の祠の周囲の封印は破られておらず、霊石も破壊されてはいなかった。
今日の朝、森の祠に異常が無いか確認しに行くと、封印が破られており、祠の石、初代神主の霊石が破壊されていた。
破壊された霊石からは、微塵の霊力も感じ取れなかった事から、霊力を何者かが奪った後、あの霊石を破壊したと考えられる。
初代神主の霊石は、この村のあらゆる封印を支える力であり、封印の維持が不可能になった今、全ての封印は崩れ、封印されている存在が溢れ出し、この村には災厄が訪れる」

当然の如く村人は慌て始めた。
森の祠の霊石を破壊した犯人、村人は大声で言わないだけで、B一族の仕業だと気付いていた。

神主「今より、この村での全ての禁を廃止する。
我々一族は、この村を脱出する事を決断した。
今夜にもこの村を出ていく。
以上だ」


88: 伝者 2014/12/19(金) 20:34:02.01 ID:Q9WITJsub
予想外の展開となった。
村に災厄?、俺は軽く混乱した。
昨日から色々な事があった。
だが、それは村全体に影響する事は無いと、心のどこかで思い込んでいた
しかし、思い返せば村に災厄が訪れる原因の全てが、俺の責任。
俺の家族はどうするのか、その事が頭を過った。

A「俺君の家族は、私の家族と一緒にホテルに移動するそうだよ」

俺「そうなのか!?」

A「お父さんと俺君のお父さんが話しているのを聞いてね」

俺「そっか」

何故か安堵した。
Aと一緒に居られる事からか、それとも村を出るからなのか。
この時の俺は、色々な思いが頭の中を回っていたように思う。

89: 伝者 2014/12/19(金) 20:34:57.03 ID:Q9WITJsub
八月十五日 午後五時
神主の話から二時間が経った。
あの話を村人が聞いてから、村中は大騒ぎになっていた。
逃げ出す用意をする者、ここに残ると主張する者、揉める者、あちらこちらで見られた。
俺の家族は、Aの家族(神主一族)と共に俺の家族が運営するホテルへ一時的に移動する事となった。
学校も変わるそうだ。

92: 伝者 2014/12/19(金) 21:05:38.36 ID:Q9WITJsubA
「村ともお別れだね」

俺「そうだな」

A「この村、どうなっちゃうのかな」

俺「俺にもどうなるかは分からない」

93: 伝者 2014/12/19(金) 21:06:26.43 ID:Q9WITJsub
神主に俺が直接聞いた事によれば、
初代神主が残した、自分の霊力を封じ込めた霊石の力は、
本当の所は初代神主が死ぬ直前の年まで効力を発揮したが、死後、直ぐに効力は無くなってしまったらしい。

そこで初代神主の子孫達は、
辿静祭に関する禁を作り、その禁を恐れ、守ろうとする村人の念を、
何らかの方法で石に集める事で霊石と化し、
その霊力を核として村のあらゆる封印や結界を保っていたそうだ。

その霊石が破壊され、霊力が奪われた今、村に施された何百と言う封印や結界が徐々に崩壊しているらしく、全てが完全に崩壊するのは五日後の八月二十日。
完全に崩壊した時、村に留り続けてきた災厄が訪れると。
正直、この伝承のどこが真実なのか、未だに隠されている事があるように思ってならない。

94: 伝者 2014/12/19(金) 21:07:46.95 ID:Q9WITJsub
神主は祠の封印が破られた件に関して、自分自身でも疑問があるらしい。
その疑問を纏めると、
まず祠の封印を破った者は、痕跡からして一人だそうだ。
B一族は祠の場所を知っている事は確かだったし、
霊石の破壊されていた周囲には多くの靴後が残っていた為、
霊石を破壊したのはB一族で間違いない。

だが、祠の周囲に施された封印を解くには、
例え祠の場所が分かっていたとして、そこに行ったとしても、
「近づいた者の生気を欠く封印」の前では無力になり、どうしても祠に近寄る事は出来ない。
代々の神主は、この封印が弱まった所を修復しに行く為、弱まっている封印の前である方法を使う事によって、何とか再封印が可能となる。

霊石が破壊されたのは、神主が再封印をした直後なので、
弱まるも何も万全な状態だ。
要約すると、
人には祠の封印は破れないが、人外の存在ならば封印を破り、B一族を祠の中へ通す事が出来る。
俺は胸騒ぎを感じていた、何か忘れてはいないかと。

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