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【長編洒落怖】不思議な場所から帰れなかったかもしれない

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52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 19:37:38.18 ID:h/PNYid40
そんなやり取りをしているウチに、1番ホームの方から電車の音が聞こえてきた。
向こう側へ行く列車だろう。
慌てて俺は1番ホームに行くと、列車が停車していた。
ここで俺はふっと頭によぎった事が

ひょっとしたら、進めばちゃんと目的の駅に行くんじゃね?

今考えたら本当にバカだった。

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 19:39:12.33 ID:h/PNYid40
俺はまた折りたたみ自転車を持って、電車の中へ入った。
やっぱり中には一席だけ席が開いていて、俺はまたドカッと折りたたみ自転車を通路に置いて、その席に座った。
まもなく列車のドアがプシューと閉まって、列車が動き出した。

相変わらず、他の皆は無言のまま、真っ直ぐ前を向いて座っている。
微動だにせず、手を膝の上に置いて。

電車が動いて5分程でまた列車が漆黒のトンネルの中に入って、俺はしばらく揺られてた。

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 19:40:49.91 ID:h/PNYid40
それから10分ぐらいして、ふっと今何時なんだろう?
と携帯電話を見たんだ。

そしたら、携帯電話には9時35分って書いてあった。

おいおい。ここでは時間の進み方が違うのかよww
もーあかん、ゼッタイに終わった怒られるフヒヒwサーセンww
そんな事をのんきに思いながら、ふと携帯の画面の隅に目をやると

あ!!アンテナが立ってる!二本も!
さすがはAU、やるなあ!と喜び勇んでいたんだが、ふと違和感を覚えた。

携帯のアンテナの色が緑色になってた。
でも、緑のアンテナバーも2本立ってた。

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 19:42:22.56 ID:h/PNYid40
何がともあれ、俺は急いでT社に電話を掛けようとした。
なんだか発信音がいつもの音とは違っていた。

あのいつも聴いているプーーーーっていう音じゃなくて、よくアメリカ映画なんかの電話のシーンで出てくるあの独特の発信音。

まあ、いいやと思って、そのまま電話帳からT社の電話番号を探しだして掛けた。
そしたら、しばらくプップップップと音がして音声アナウンスが。

「・・・・・お客様の電話番号は、圏外です。」

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 19:43:19.35 ID:h/PNYid40
へ?固定電話に掛けているのに圏外?
しかもなんだこの素っ気ないアナウンスは。

その瞬間、俺の頭に思い出してはいけないキーワードが思い起こされてしまった。

それは・・・それは・・・・

きさらぎ駅。

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 19:44:19.87 ID:zd/0qFU90
きさらぎ駅ネタかよ

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 19:47:23.40 ID:h/PNYid40
>>60
そこに行くかはどうか知らんが、そのキーワードを思い出した瞬間に何かとっても駄目なような気がしたんだ。
これ以上行ってはダメだと本能が言ってた。


61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 19:44:25.87 ID:h/PNYid40
ザーーーーっと全身の血が引いた。

瞬間、パニックになった。
これは・・これは・・。

俺は飛び上がって次止まりますボタンを連打した。
これはあかん。これはあかん。
もうパニック過ぎて意味が分からくなっていた。

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 19:45:47.46 ID:h/PNYid40
程なくして列車は止まった。何処に止まったかは知らない。
外は真っ暗で、トンネルの中だったかもしれない。
ドアが開くと、ちょうどホームの反対側にも列車が止まっていて、ドアも開いていた。
俺はそれに乗らなきゃならないと本能で思った。それも急いで!

自転車を蹴り飛ばし、俺は転がるように反対側の電車に乗った。
乗った瞬間に、電車のドアが閉まって、今まで来た道とは反対方向に列車は進みだした。

何が違うかって、その列車には誰も乗っていなかった。
そして、次止まりますボタンも無かった。

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 19:47:23.40 ID:h/PNYid40
俺は椅子にへたばるように座りこんで、ただ祈ってた。
携帯を握りしめて祈ってた。

これに乗ったからと言って、帰れる保証なんてない。
でも、祈るぐらいしか出来なかった。

列車はどんどん進んで、進み続けた。
30分ぐらい乗ったかな。時間は曖昧でよく覚えてない。
俺はひたすら携帯を握りしめて目を瞑ってどうか戻れますようにとひたすら祈ってた。

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 19:48:51.75 ID:h/PNYid40
列車はようやく止まった。
プシューと列車のドアが開いた音で、俺も目を開けた。

外は明るかった。

列車の外に出ると、それはいつものT駅だった。
いや、本当にT駅に戻ってきたのかは分からないが、少なくとも俺が知っているT駅だった。

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 19:50:13.14 ID:h/PNYid40
携帯電話を開いてみた。
時刻はAM11:40と表示されていた。

日付は進んでいなかった。

何よりも、携帯電話のアンテナの色が白色に戻っていた。

だから多分俺は帰ってきたんだと思う。
そう思いたい。

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 19:51:19.56 ID:h/PNYid40
俺はとりあえず、自分の車に乗って、ぶっ飛ばしてT社まで行った。
会長はテラ不機嫌で怒り狂ってはいたが、あの経験より恐ろしくはなかった。

ここは俺が前から居た世界なんだよな?
そう言ってくれ。

とりあえず、オマエラ、変な世界に来てしまったかもと思ったら、携帯電話のアンテナの色を確認してくれ。

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