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【長編洒落怖】マネキンの生首と暮らしていた話

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2: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 04:51:54.37 ID:8k+MThSt0
これは去年くらいの話。
私はネットのオカルトな話とかは大好きだけど心霊体験はしたことはないという典型的な人間だった。
あと書くこととすれば同性愛者ということくらいかな。これについては昔色々あったのでまた書くよ。待っててね。

3: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 04:55:18.72 ID:8k+MThSt0
ある日私は美術館に一人で出かけていたんだ。その美術館の近くというのが人通りは多いんだけどホームレス環境の人達も多くて、道のすみっこに段ボールハウスみたいなのがちょいちょいあった。
私はぼんやりその景色を見ながら美術館から帰る道を歩いていたんだけど、あるものが目にはいった。
とある段ボールハウスのそばにマネキン?の頭部が飾ってあった。
分かる人少ないかもしれないけど、ブリジット・バルドーみたいな髪の長い綺麗な顔で、なんとなく惹かれて近づいていったんだけど、そのマネキンの数歩あたり近くに寄った時かな。
私はこの顔めっちゃ好きだ。持って帰ろう!!と思い立った。何故唐突に思ったのか分からないけど、今考えればあの時からおかしかったみたいだった。

4: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 04:59:36.73 ID:8k+MThSt0
段ボールハウスに「すみません、誰かいませんか」と話しかけると、のそのそとおじいさんが出てきた。

私「突然すみません、私どうしてもこのマネキンが欲しいんですけど、一目惚れなんですけど、大切なものだったりしますか」
おじいさん「あ??」

5: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 05:02:24.92 ID:8k+MThSt0
おじいさんは意味が分からないようだったけど、私が好きな海外の昔の女優に似ている、と言ったらまあ納得したみたいで「そんなんでよかったらあげるよ」と言ってくれた。
おじいさんによると、おじいさんなりの防犯というか、イタズラ防止らしかった。
ホームレス環境の人達に暴力をふるって楽しむ人達がいるらしい。ひどい話だね。マネキンがあるとなんとなく不気味だから人が近づいてこないらしい。
おじいさんはその後も「違う地区でハウスに放火された人がいて………」とか話してたけど、私は早くマネキンを持って帰りたかったから「そうですかそうですか」とか適当に話を切り上げて歩き始めた。
マネキンの生首小脇に抱えてバスに乗ったら、バス混んでたのに誰も隣に座ってこなかったよ。

7: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 05:36:04.30 ID:Jv8+pv5G0
帰るなり私はマネキンをカワイイもの棚(私の家には可愛いグッズを飾る用の棚がある)に飾ってみた。
その時はそれで「いいわあ~」って満足したんだけど、日々が経つにつれてなんとなく「おはよう」「今日はね~こんなことが……」とか話かけるようになって、そのうち「いってきます」「ただいま」を言いたいな~と思って玄関の靴入れの上に飾るようになった。
家に帰ってきたら一番にブリジット(名前もつけた)に挨拶するようになった。
これが2ヶ月くらいかな、続いていたんだけど、ある日のこと。
私とブリジットの生活にヒビが入ることになる。

本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 06:21:20.96 ID:Jv8+pv5G0
私には涼子さん(仮名)という恋人がいた。
すごく気のつよい人で、ガンガン自分の意見を言ってくる。気の強い女性が好きな私はメロメロな状態だった。
その涼子さんが家に遊びにくることになって私はルンルンしていた。

……ブリジットを隠さないまま。

10: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 06:35:27.20 ID:0aoSCdMJ0
ブリジットはいい子なの?悪い子なの?

11: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 06:41:01.36 ID:lWRo3gzx0
ブリジットについてはこれから分かるよ。

続き。

私「涼子さん、いらっしゃい~」
涼子さんが遊びにきた時、私は上機嫌だったし、涼子さんもまあまあ機嫌よさそうだった。普段あんま笑わない人だから嬉しかったなあ。
でも玄関のブリジットを見たとたんに涼子さんは顔色を変えた。
涼「……何これ」
私「ブリジットと言います」
おかしくなっていた私は、涼子さんもブリジットを気に入ってくれるとばかり思っていたので呑気に紹介したけど、涼子さんは「何これ」「気持ち悪い、何で、何でこんなことしてんの」と慌て始めた。

12: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 06:46:34.14 ID:lWRo3gzx0
涼「お前どうしたの。何でこんなことしてんの?」
私「これは何か、道端で運命的な出会いをして、そんで持って帰ってきたの」
涼「はあ!?」
涼子さんは真っ青になって「美容師じゃないんだから」「これは完全におかしい!!」「不気味だって思わないの!?」
普段冷静な涼子さんも流石に焦ったらしく「何か悩みでもあるの!?私に言えないこと!?」と話が飛躍していった。

14: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 07:17:10.03 ID:I23znElU0
私は何故か涼子さんが混乱している理由が全く解らなかった。
一応オカルト好きだから、こういう異様にある物に惹かれる時は心霊関係のヤバイやつで……みたいなエピソードも読んだことがあったんだけど、その時は完全に忘れていた。頭は花畑状態だった。
私は、何でそんなこと言うの?こんなに綺麗だし不気味なんて言ったらブリジットが可哀相だよ。とか色々言ったら、涼子さんはしばらく黙って考えごとをしているみたいだった。
そして
「そうだね。よく見ると可愛いね。私が間違ってたよ」と静かに言って家の中に入っていった。
後で聞いたら、基本的に涼子さんの言うことを聞く私がそこまで言うのを聞いて明らかにヤバイと思って話を合わせることにしたって。


18: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 08:22:30.90 ID:X9spd7r+0
その後も何か、一回もブリジットを否定せずにご飯たべたりのんびりしたりしてた。
関係ないけど、完全に話を合わせることにした涼子さんは「何が面白いわけ?」と全否定していた、以前私が見てたハム太郎の映画までも「あれも可愛かった。私が間違ってた」と肯定していた。
その日はそれで終わり。涼子さんと一緒に寝て、朝を迎えた。

19: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 08:24:21.24 ID:X9spd7r+0
涼「見送りはいいから」
私「なんで?」
涼「なんでも」

翌朝、涼子さんはそんな感じで玄関まで見送ろうとする私を止めて足早に帰っていった。
冷たいなあ、とか考えながら、そのうち私も出かけようと玄関に行ったんだけど、そしたら気づいた。

ブリジットがいない。

21: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 09:11:43.14 ID:lWRo3gzx0
え!?なんで!? 私はパニックになって靴入れや周囲を探した。
でもどこにもブリジットはいない。しばらく家の中を落ち着きもなくウロウロした後に気づいた。

涼子さんだ。
涼子さんがブリジットを持ってっちゃったんだ。
だから見送りはいいって言ったんだ。持ち出すのを見つからないように。

22: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 09:38:06.40 ID:lWRo3gzx0
私は涼子さんに慌てて電話した。
涼子さんはちょっと間があったけど電話に出てくれて、静かに「何」とだけ言った。

私「ブリジットどうしたの」
涼「何?ブリジットがどうかしたの」
私「ブリジット持ってったの涼子さんでしょ!?」

涼子さんは始めは「ブリジットいなくなったの?」「ちゃんと探した?」とかしらばっくれていたが、私がヒステリックにブリジットどうしたの!?何で持ってっちゃったの!?とまくし立てたら諦めたように呟いた。
涼「お前ね、今ちょっと変だよ。様子がおかしい。
玄関でマネキン見た時血の気がひいたよ。だからね、今朝マネキン持ってって捨ててきた。
あのね、お前いつもと違うよ。明らかにおかしい。私の話を落ち着いて聞いて。私がお前を絶対元に戻してやる」
強い口調だったけど涼子さんは私を諭すようにゆっくり喋った。

28: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 11:20:42.97 ID:Hwt38fmu0
私はなんとなく冷静になっていった。
パニックになっていたがブリジットが遠のいたせいか、確かにマネキン置くのは変かなあ、しかも生首だしなあ。と急に人が変わったように思い始めた。
その後はいつも通りに過ごした。ブリジット探したりしなかったな。逆に何で私はあの時マネキンに惹かれたんだろう?と疑問に思った。
けれどそれも覆る。

29: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 11:22:23.90 ID:Hwt38fmu0
ある日、夜だったな。家の中にいたんだけど、外から人の喧嘩する声?か何か、大声が聞こえた。私はいつも閉めていたカーテンを開けてなんとなく外を見ようとした。
カーテン開けた瞬間目に入ったのは、

ブリジットだった。
ブリジットがベランダにいた。

30: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 11:27:25.80 ID:lWRo3gzx0
何か、よく人形とかを捨てたら戻ってくるみたいな話あるじゃん、あれで戻ってくるなら玄関かなあみたいなイメージあったんだけどブリジットは何故かベランダにいた。

私は嬉しかった。ブリジットが帰ってきてくれた!そればかり考えてた。
不思議に思ったり何じゃこりゃとか思ってもしていいのにまったく気にしなかった。

32: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 13:11:57.77 ID:q4xxR2Og0
そんで話は飛んで、またある日のこと。
私にはゲイの友達がいる。バカな奴だから名前をバカ太郎とする(ひどい話だけど分かりやすいからね)
あとコイツは酔っぱらうと「俺は童貞をドブに捨てた」とうわ言みたいに繰り返すが誰もその詳細は知らない。
そのバカ太郎から電話がきた。

バ「明日の夜ドライブいこうぜ~」

何でいきなりドライブ?と思ったが、バカ太郎はたまに遊んだりすると「まだ帰りたくねえ!もっと遊ぼう」とか言うさみしがりやだったので、唐突に友達に会いたくなったのかな、とか、ドライブは嫌いじゃなかったこともあって、私はバカ太郎とドライブに行くことにした。
何故か集合は夕食後だった。この時点で怪しむべきだったのかもしれない。

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