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【長編洒落怖】マネキンの生首と暮らしていた話

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57: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 19:27:50.19 ID:8s0oGylg0
中から出てきたのはおじさんとおじいさんの間みたいな年齢の男の人だった。
すごく優しそうだけどホッとすることとか出来なかった。
四人で今あったこと、昨日あったこと、ブリジットのことをまくし立てるように話した。
冷静になれなかった。
おじさんはそれでも「フンフン」と優しく話を聞いてくれて、家の中に私達を案内してくれた。

家の中は二階が仕事用というか、つまりお祓い用になってるとのことだった。

58: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 19:30:22.12 ID:8s0oGylg0
私は何年か前までカウンセリングに通ってたんだけど、家の中はそういう場所と似たような作りだった。
全体的に柔らかい色あいで家具とか揃えてあるというか、人が安心出来るように作られてる感じがした。
懐かしい気持ちになってその時になってちょっと落ち着いた。

バカ太郎が「俺のせいなんです」とシクシク泣きながらおじさんに話しかけてて、
おじさんは「キミのせいじゃないよ」とバカ太郎に話しかけていた。
(バカ太郎はバカですが素直に自分の否を認めることができる奴です)
私はこの時のおじさんは適当にバカ太郎を慰めてるだけだとか思ってたけど、おじさんから気になる言葉が飛び出した。

「本題はキミのやったことじゃないよ」

どういうこと?

59: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 19:32:42.91 ID:8s0oGylg0
全員で「???」と思っていると、おじさんは私のほうを向いた。

「あのね、キミなんだよ」

私の目を見ておじさんは言った。

白状しよう。死ぬほどビビった。

60: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 20:08:13.97 ID:nUA6xkIz0
おじさんは私の抱えていたブリジットを見て「うんうん。それに惹かれたんだね?」と確認するみたいに話しかけてきた。

私「見つけた瞬間に、ひとめぼれみたいになったんです」
おじさん「うんうん、なんとなく分かったよ」

全員で混乱していたけど、おじさんはおかまいなしに話を進めていく。

おじさん「ひとつ聞いていいかい。
キミ(私)の周りで、今までで何か不可解なことが起こったりしなかったかい」
私「特に心当たりないです」
おじさん「最近じゃなくて、ここ数年とか」
私「いや、分からないです……」

おじさんは私の目をじっと見て静かに喋る。

62: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 20:11:04.78 ID:nUA6xkIz0
そしておじさんはゆっくりと言った。

おじさん「キミに危害を加えたり、加えようとした人が酷い目にあったとか、そういうことはなかった?」

ずっとわけが分からずにいた私は、ようやくその時ハッとした。

私「数年前に私をレイプしようとした男3人、全員死にました」

65: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 20:31:01.29 ID:nUA6xkIz0
ここで私の昔ばなし(といっても数年前)をします。
性暴力の話だから感受性の強い人とか似たような経験ある人は注意してね。あと特定怖いので嘘が増えます。

66: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 20:31:43.92 ID:nUA6xkIz0
私は自分が同性愛者だということを家族にカミングアウトしてた。ここまでだったらよくある話なんだけど、父親が悩んだんだろうね。
知りあいに同性愛者の娘がいるって相談したらしい。
それからどういうわけか分からないけど、その知りあいの息子にそれが伝わった。
世の中には一定数「しょせん女同性愛者はヤッちゃえば男に落ちる」と思っている人間がいて、
その息子はそういうタイプだったらしく、仲間を二人呼んで企んだ。

67: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 20:32:58.75 ID:nUA6xkIz0
だいたい予想つくと思うんだけど、彼らが企んだのはレイプだった。
何でか分からないけど、住所も私の外見も彼らにバレてて、
べつに夜でもない時間帯に、外出していた私は知らない車に引きずりこまれた。
あっという間に車を横につけられて髪と服つかまれて中に入れられた。

けどここで、私は完全にパニックになって、走っている車の中で猛烈に暴れた。
彼らは私を押さえつけようとしたみたいだったけど、さらにパニックになって手足を必死で暴れさせた。
めっちゃ車が揺れてたのをおぼえてる。
それで問題はその後だった。


68: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 20:34:02.63 ID:nUA6xkIz0
私に蹴られた運転手が運転を誤り、車が思い切り電柱に激突した。

70: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 20:41:33.43 ID:lWRo3gzx0
おじさんは静かに話を聞いてくれた。
バカ太郎とボクサーは「えっ何ソレ」みたいな顔で私の話を聞いてた。
涼子さんにはこの話は報告済みで、彼女は冷静そうにしてた。

私「運転手の足、つぶれました。その後足に障害が残って自殺しました」

おじさん「うん」

私「仲間の一人は、見知らぬ男性にレイプされた後殺されました。
でもその男性というのが異性愛者だったのと、精神疾患があってまともに受け答えも出来ない状態の人みたいで、なんでレイプされたのかが今も分からないって」

おじさん「うん」

私「あとの一人は特に何も無かったんですが、やっぱり自殺です」

おじさん「うん。
ちょっとおかしいよね。うまくいきすぎてると思わない?
誰かが代わりに仕返ししてくれたみたいだよね」

私はおじさんの言葉が正直ちょっと怖かった。

71: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 20:45:37.25 ID:lWRo3gzx0
おじさん「あのね、多分その犯罪者の人たちはね、キミ以外の人にも色々酷いことをしたみたいだね。他にも被害者がいる。
それでね、その他の被害者の子たちがね」

「キミの後ろにいる」

気が遠くなった。

73: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 20:53:39.78 ID:lWRo3gzx0
真っ先に口を開いたのはバカ太郎だった。

バ「コイツはどうなっちゃうんですか!?」
「死んじゃうんですか!?」

おじさんは「話最後まで聞いてね」と話を続けた。
おじさん曰く、犯罪者3人は他にも何かヤバイことしていたということだった。
私は知らなかったけど、多分まだ余罪があるみたい。
それが原因で何人も亡くなってるとのことだった。

74: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 20:55:22.52 ID:lWRo3gzx0
おじさん「でもキミは襲われても死ななかったよね。(書くの遅くなったけど生活に支障ないレベルの障害は残った)
それで、その子たちはキミのことをいいなあとか、羨ましいなあとか思ったのかな。
聞いたことあるかもしれないけど、霊はそういう人についていくことがあるんだよね。
だからね、憑いてるといっても悪い意味じゃないよ。多分味方してくれてるんじゃないかな。

それで、マネキンはね、自分たちの住み処(?)になるものをキミが与えてくれたと勘違いしたんじゃないかな。嬉しかったんだね。
キミはそれに同調してマネキンに惹かれたんだと思う。

あとね、車の天井の音、叩いたのが何なのかはよく分からないけど、多分踏みつけるような音はキミに憑いてる子たちだね。
叩いてる何かから守ろうとしてくれたんだよ」

75: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 21:02:05.77 ID:lWRo3gzx0
話をぼんやり聞いていた。

私が憑かれてるというのも、天井叩いた奴と憑いてる子たちが戦った?のも、
私に憑いてる子たちが犯罪者たちに仕返ししたかもというのにもびっくりしたけど、
何か、それより犯罪者3人が他にも犠牲者を出しているのに憤る気持ちが強くて、
もう死んでるのにアイツら殺してやろうかとか考えてた。

気がついたら泣きそうになってた。

76: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 21:25:15.08 ID:lWRo3gzx0
おじさん「じゃ、お祓いしようか」
私「え、でも憑いてる子たちは守ってくれるんじゃないんですか?」
おじさん「ちょっと守ろうという気持ちが強すぎるかもしれない。道端でぶつかっただけでもその相手に何かするかも」

ちょっとビビった。

おじさん「そこらへんタチが悪いかもしれない。あとね……憑いてるのは3人だけど、
一番強い(?)子、8才くらいなんだけど、頭が半分砕けてるね。それでね、

キミの背中にしがみついてこっち見て笑ってるね」

7: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 21:38:01.96 ID:S8d8RmPx0
なんってこった…ブリジストン良いヤツ?ヤツらだったんか

78: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 21:44:32.70 ID:lWRo3gzx0
怖すぎたので皆揃ってクソビビりながらお祓いお願いしました。
お祓いは無事終了した。
お祓いの詳しい内容は内緒にしてとのことだったので書けないけどぶっちゃけお祓いが一番怖かった。

お祓い終わった後、涼子さんは私のことをギュッと抱き締めてくれて
「本当に無事でよかった」とちょっとだけ泣いてた。
本当はめっちゃ怖かったけど、私がピンチだから絶対泣くまいと思っていたらしい。強い人だ。

ボクサーはボンヤリしながら「腕力役に立たねえな……」とか呟いていた。
いや心強かったよ~とか言ったけどあんま聞いてくれなかった。

バカ太郎はちょびっと漏らしていた。
そもそもコイツがいなかったら憑かれてることも知らないまんまだったので、
トンネル連れてってゴメンゴメンってめっちゃ謝ってくるバカ太郎はちょっとフォローしておいた。

79: 本当にあった怖い名無し 2018/05/01(火) 21:46:04.63 ID:lWRo3gzx0
その後は私たちは何事もなく、バカ太郎も二度と心霊スポットに行かないと誓い、無事に過ごしています。
ブリジットは一応おじさんが引き取ることになった。
ブリジットは今度は戻ってくることもなく、平穏な日々が戻ってきた。

あとね、雰囲気壊すかな~と思って書くの後回しにしたんだけど、トンネルからバカ太郎と車で逃げてる時、
フロントガラスにでかいバッタが激突してバッタ殺しちゃったんだけど、
めっちゃすごい音してビビって二人で「ギャーーーー!!!!」って叫んだよ。
以上、余談でした。

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