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【洒落怖】心霊動画撮影

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443 ::2009/08/27(木) 02:18:37 ID:qAzyC9Vy0
これ信じてもらえるかどうか分からないし、書こうかどうか迷っていたのだが… 

丁度1年ほど前、俺と友人のTとOは、Oが「ニコ動に釣り動画つくってうpしようぜwww」と言ってきたので、
買ったきり殆ど使っていなかったOのビデオカメラを持ち出し、俺の親の車を借りて山の中へ出かける事になった。
誕生日の関係で、18になっていたのが俺だけで、免許を俺しかもっていなかったから。 

どんな釣り動画かというと、俺とTが録画しながら心霊スポット探索をして、
ほんの一瞬女装したOが画面内に映りこみ、俺とTはその事に全く気付かないまま動画をうpという設定。
今考えるとほんとうにしょうもない内容だが、当時の俺達はノリノリだった。 
ただし3人ともビビりだったため、ほんとうの心霊スポットでは無く、ただそれっぽい山の中へ行き、
そこで録画する事になった。 

午後4時頃に出発し、適当に山道を走らせていると、いい感じに舗装されていない林道を発見した。 
その道を少し進むと開けた場所があり、何かの資材置き場のようになっていて、俺達はそこに車を止めると、
まず周辺で演出に使えそうな場所はないか、Oが隠れ潜めるような場所はないか、色々と探し始めた。 

30分ほど辺りを探し回っていると、俺は資材置き場の先の森の中に、ボロボロの小屋があるのを発見した。 
TとOにその事を話し、俺が「ここで良いんじゃね?」と聞くと、
Oはさいしょ「ここに1人で待機って気味悪りぃよ…」とゴネていたが、
俺とTは「言いだしっぺはお前だろwww」などとからかい、
「まあ待機と言っても10分くらいだから」とOを宥めて納得させ、
完全に暗くなるまで車の中で待機する事にした。

車の中でゲームをしたり話をしながら2時間ほどが過ぎ、辺りは完全に真っ暗になった。 
そして、OがTの姉貴の部屋から無断で持ち出してきた服に着替える間に、
俺とTは、適当にでっちあげた心霊スポットの話をしながら、あちこち撮影を始めた。 

444 ::2009/08/27(木) 02:19:26 ID:qAzyC9Vy0
まず10分ほどそんなこんなで録画をし、Oも準備が出来たということで、本命の釣り部分の撮影を開始した。 
俺とTは笑いをこらえながら必死でビビる演技をしながら、Oの隠れている建物へと近付いていったのだが、 
あと10mくらいまで近付いた時、
Oが突然「やばいやばいやばいやばいやばい!」と叫びながら、小屋の影から飛び出して来た。 
俺とTは最初ぽかーんとしていたが、Oがあまりにも必死な形相なため、俺達もつられて全速力で逃げ出した。 
広場の車のところまで来ると、Oは自分がまだ女装している事すら気にせずに、
「早く車出せって!ここはやばい!早く逃げねーと!」と、俺を運転席に押し込んで、自分は後部座席に乗り込んだ。
俺とTは何がなんだか解らなかったが、ひとまず車を発車させ、もと来た道を戻り始めた。 

暫らく車を走らせ、もう少しで舗装した道路に出る辺りまで来た頃、異変が起きた。 
車の天井に、何かが落ちてきたようなドン!という大きな音がした。 
俺は親の車を傷つけたら洒落にならないため、一端車を止めて何が起きたのか見ようとすると、
Oが「止まるな!確認なんて後で良いからとにかく走らせろ!ここはやばい!」と、
俺が外へ出るのを止めたため、仕方なく走らせようとしたとき、
助手席にいるTが俺の腕を引っ張りながら、「おい…あれ」と、助手席側の窓を指差した。 
Tの指差しているところみて俺は絶句した。 
森の中から、大勢の人がこちらへ向かって歩いてくる。 
人数は20人くらいはいただろうか。
全員下を向いてうつむいたまま、ゆっくり歩いているはずなのだが、見た目以上のスピードで車へと接近してくる。
俺は全身の毛が逆立つような感覚に襲われ、全身に嫌な汗が流れ始めた。 
ただ人が歩いてくるだけなのだが、俺にはそれが物凄く恐ろしいものに見えた。 

446 ::2009/08/27(木) 02:20:23 ID:qAzyC9Vy0
俺は車を急発進させ、後は3人とも無言だった。 
暫らく走っていると、遠くにドライブインらしい明かりが見えた。 
俺はTとOに「とりあえずあそこに入るか…」と言い、
2人は無言だったが、そのままドライブインの駐車場に車を止めた。
そこであらためOに事情を聞くと、ようやく自分が女装している事を思い出したのか、
「とりあえず着替えさせてくれよ」と言った。 
そこで3人とも緊張感が解けたのか、車内の空気が正常に戻った。 

3人とも落ち着いてきたため、ドライブインの自販機でコーヒーなどを買い、
そこでOに、あらためてあの時何があったのかを聞いてみるた。 

Oの話をまとめると、
Oは俺達が来るまで小屋の裏手で待機していたのだが、小屋の反対側から人の声がしたため、俺たちだと思い、
予め打ち合わせしていた小屋の窓のところに移動して、俺達が来るのを待っていたらしい。 
しかし、いつまで経っても俺とTがこないため、一端道の方へと顔を出した。 
すると、道の真ん中にぼさぼさの頭のおばあさんが立っており、こちらをニヤニヤと笑いながら見ていたとか。 
Oはちょっと気味悪かったが、お婆さんにそこにいられると段取りが狂うため、
「すいませーん、ちょっとの間で良いので、どいていてもらえませんかー?」と聞いたのだが、
お婆さんはにやにやとOを見て笑っているだけで、何の反応もない。 
Oはちょっとむかついて、お婆さんのすぐ近くまで行き、
「ちょっと、2~3分でいいからどいていてくれよ!」と、強い口調で言ったらしい。 
するとお婆さんは、にやにやした表情のままOの腕を掴み、そのまま森の奥へと連れて行こうとしたとか。 
Oは「何するんですか!」と言って抵抗したが、老人とは思えないほど強い力で引っ張られ、
ずるずると奥のほうへと引き摺られていった。 
そして、森の奥のほうからは、大勢の人がOのほうへと向かって歩いてきたとか。 
Oはそこで身の危険を感じ、お婆さんを蹴りで突き飛ばして、そのまま俺達の方へと逃げ出し、
途中で俺達と合流したという事だった。 


451 ::2009/08/27(木) 02:33:57 ID:qAzyC9Vy0
それが人だったのか、それ以外のものだったのか、Oには分からなかったらしいが、
とにかく、普通ではない集団であったのは間違いがなかったと思う。
なぜなら、俺達が戻る途中でみた集団も、なんと説明したら良いのか、とにかく異様な雰囲気がしていたから。 
何か釈然としない状況ではあったが、動画作成にも事実上失敗し、時間も時間だったため、
その日はこのまま解散となった。 

それから夏休中、俺とTとOは何度かつるんで遊んだりしていたが、
あの日の事はなんとなく3人とも話せずに過ごしていた。 

そんなある日、俺が友達と朝までカラオケをして、午前5時頃に自転車で家への帰り道を走っていると、
大通りの道の反対側にOをみつけた。 
Oは両手でお盆をもっているようで、良く見てみると、
どうやらお盆の上に、水か何かの入ったガラスのコップを乗せているようだった。 
俺は、あいつ何やってんだ?と思い、「おーいOどうした~?」と呼びかけたのだが、
聞こえていないのか全く反応が無い。 
そのままOは十字路を曲がるとどこかへ行ってしまった。 

その日の午後2時頃、俺はOからの電話で目を覚ました。 
Oが言うには、『電話では説明が難しいからとにかくうちへ来て欲しい』と言う。 
Oの家につくと、Tもいた。
そして、Oは俺とTにまずこれを見てくれと言い、あの日録画した動画を見せた。 
その動画を見ていて、Tが「どういう事だ?なんだこれ?」と言い出した。 
俺も口には出さなかったが、Tと同じ感想だった。

453 ::2009/08/27(木) 02:35:12 ID:qAzyC9Vy0
なぜかというと、俺達は確かにあちこちを録画して回ったはずでその記憶もあるし、逃げ出したときの記憶もある。
当然3人とも記憶に不一致は無い。 
しかし、動画内で俺達はなぜかずっと車の中におり、ビデオカメラは後部座席に固定されている。 
動画が流れ始めて20分くらい、なぜか俺達が無言のまま座席に座っているところが映し出されていた。 
動画が20分を過ぎた頃、後部座席にいたOがドアを開け、やはり無言のまま外に出ると姿が見えなくなった。 
そしてそこから5分ほど過ぎた頃、俺とTもドアを開けると外に出て、
動画には誰もいない映像がそこから10分ほど映されていた。 
動画の中で、俺達は一言も会話をしていなかった。
聞こえてきていたのは、ドアを開ける音や、外からかすかに聞こえて来る虫の声のみだった。 

そこで一端Oが動画を止め、俺とTに「どう思う?」と聞いてきた。 
俺は「どう思うと聞かれても…なんだよこれ…」と答えるしかなかった。
動画の中で俺とTとOは、俺達の中にある記憶とは全く違う行動をしている。
そんなものどう答えたら良いのかなんて分からない。Tも当然同じ意見だった。 

Oは「そうだよな…でさ、この後の映像も変なんだよ…」と言い、停止していた動画を再生し始めた。 
暫らく誰もいない車内と、フロントガラス越しに見える外の景色が映っていたのだが、
更に4~5分すると、車の前方の方に人影が見えた。 
その人影はどんどん車の方へと向かってきており、暫らくするとそれが、
ぼさぼさの髪のおばあさんである事が分かった。
Oはそこで、「こいつだよ、こいつ!俺の腕掴んで引っ張ったの!」と少し興奮気味に言い出した。 
そのお婆さんは、暫らく車のボンネットに手を着くと、にやにやと笑いながら車内を見ていたが、
すぐにもと来た道へと戻っていった。 

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