スポンサーリンク

【洒落怖】廃墟探検

スポンサーリンク

868 :841つづき ◆O2uqqje66g:03/04/18 15:39
少し迷ってから、俺はその女の子(仮にAとします)に連絡を取る事にしました。
幸い母親がAの携帯番号を教えてくれたので、早速電話してみました。
最初は怪訝な口調だったAも、事情を話すと、
「ああ、あの時の・・・」と、思い出したようでした。
てゆーか聞いてみると、Aはあの時のことを克明に覚えていました。
Aはあの日、あの廃屋の近所に引っ越してきました。
で、あたりをブラブラするうちに廃屋を見つけたAは、塀の隙間から中に入り、
すでに開いていた玄関から上がり込んで、探検を始めました。
やがて書斎みたいな部屋で、数枚の写真を見つけました。
それを見ているうちに、持ってきた懐中電灯の明かりが消えてしまった。
それで少し怖くなり、探検を続けるか迷っているところで、誰かが玄関のドアを開ける音が聞こえてきました。
てっきり「大人が入ってきて怒られる」と思って、身を固くしていたところ、
現れたのが自分と同じくらいの年頃の子供だったので、ホッとしたそうです。
安堵感でちょっとハイになったAは、探検を続けるように持ちかけました。
(あの時のちょっと芝居がかった仕草は、多少の演技を交えて好奇心を刺激する、Aの作戦だったわけです。
女ってのは、つくづく怖い生き物だと思う)
その甲斐あって、現れた子供とAは一緒に家の中を探検し始めました。
「そこで二人になったから、探検続けてしもたんよ。あそこで止めてたら・・・」
「え??ちょっと待って」
俺はあわてて聞き直しました。
「二人って・・・」
「だから、私と**君(俺の名前)の二人やんか。他に誰が居るっていうの?」

869 :841つづき ◆O2uqqje66g:03/04/18 15:40
一緒に廃屋を彷徨ううちに、Aは俺の行動がおかしいことに気が付きました。
誰も居ない方向に向かって話しかけたり、誰かの後を追うように歩いたり。
そういうのが気持ち悪くて、Aは少し離れて俺の後ろを付いて回りました。
やがて、あの渡り廊下にさしかかったあたりで、喋り声が聞こえてきました。
Aはてっきり、俺が独り言をつぶやいているんだと思ったそうです。
『こいつ本当に大丈夫か?』
Aの恐怖心は、一気にふくれあがりました。
そして、俺が黒い部屋のドアを開いた時、Aはものすごい悪臭を嗅いだのです。
思わず口を押さえ、後ろを向こうとした時、低い男の声で「・・死んでまうのに」と言うのが聞こえました。
見ると、俺が虚ろな目をしてこっちを向いている。
真っ黒な部屋を背にした俺は、背景を黒く塗りつぶされているように見えました。
まるで、あの写真のように。
それで、Aは振り向いて逃げ出したのです。
俺と同じく、夢中で逃げるうちに、いつしか自分の家の前まで来ていたそうです。
Aはそれからしばらく、悪夢に悩まされました。
その後、学校で俺を見かけることはあっても、あの時のことを思うと、声を掛ける気にはならなかった。
だから今日までの俺は、Aの事を覚えてなかったんです。

870 :841おわりです ◆O2uqqje66g:03/04/18 15:41
最後にAがこんな事を言いました。
「でもね、こういうこと言ったら何やけど、**君のいう友達っていうの、今も居るんだよきっと」
「え?」
「ホラ、さっき『二人?』って聞き直した時あったでしょ?
あの時、**君の声にかぶってたよ。
『マジで・・』って。低い男の声」

スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました