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師匠シリーズ

【師匠シリーズ】海

386海 ◆oJUBn2VTGEウニ2006/12/02(土)14:22:40ID:Q8VwWIU/0大学2回生の夏。俺は大学の先輩と海へ行った。照りつける太陽とも水着の女性とも無縁の、薄ら寒い夜の海へ。俺は先輩の操る小型船の舳先で震えながら、どうしてこんなことになったのか考えていた。眼下にはゆらゆらと揺らめく海面だけがあり、その深さの底はうかがい知れない。ときどき自分の顔がぐにゃぐにゃと歪み、波の中にだれとも知れない人の横顔が見えるような気がした。遠い陸地の影は不気味なシルエットを横たえ、時々かすかな灯台の光が緞帳のような雲を空の底に浮かび上がらせている。「海の音を採りに行こう」という先輩の...
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【師匠シリーズ】鏡

376鏡  ◆oJUBn2VTGEウニ2006/12/02(土)14:09:25ID:Q8VwWIU/0大学1回生の冬。大学に入ってから出入りするようになったネットの地元系オカルトフォーラムのオフ会に出たときのこと。オフ会とは言っても、集まって居酒屋で飲む程度のものもあればディープなメンバーによる秘密の会合のようなものもあった。その日も10人ほどの人間が集まって白木屋でオカルト話を肴に飲んだ後、主要メンバーだけが夜更けにリーダー格の女性の部屋に集ったのだった。そのリーダー格の女性とはColoさんという人で(なぜか頻繁にハンドルネームを変えるのでそのとき本当にColoだったかは自信がない)、俺の...
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【師匠シリーズ】ドッペルゲンガー

69ドッペルゲンガー ◆oJUBn2VTGEウニ2006/10/15(日)21:30:55ID:lY9MF+tv0大学1回生の秋。オカルト系ネット仲間の京介さんの部屋に、借りていた魔除けのタリスマンを返しに行ったことがあった。京介さんは女性で、俺より少し年上のフリーターだった。黒魔術などが好きな人だったが少しも陰鬱なところがなく、無愛想な面もあったがその清潔感のある性格は、一緒にいて気持ちが良かった。その日は、買ったばかりの愛車をガードレールに引っ掛けたという間抜けぶりを冷やかしたりしていたのだが、これから風呂に入ってバイトに行くからという理由であっさりと追い払われた。このところオフ会でも会わ...
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【師匠シリーズ】黒い手

53黒い手 ◆oJUBn2VTGEウニ2006/10/15(日)20:49:55ID:lY9MF+tv0その噂をはじめに聞いたのは、ネット上だったと思う。地元系のフォーラムに出入りしていると、虚々実々の噂話をたくさん頭に叩きこまれる。どれもこれもくだらない。その中に埋もれて、「黒い手」の噂はあった。黒い手に出会えたら願いがかなうそのためには黒い手を1週間持っていないといけないたとえどんなことがあっても「バッカじゃないの」上記の噂を話したところの、ある人の評である。オカルト道の師匠にそんなあっさり言われると、がっかりする。「まあ不幸の手紙の亜種だな。どんなことがあっても、って念押ししてるってこと...
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【師匠シリーズ】病院

43病院 ◆oJUBn2VTGEウニ2006/10/15(日)20:35:54ID:lY9MF+tv0大学2回生時、9単位。3回生時0単位。すべて優良可の良。俺の成績だ。そのころ子猫をアパートで飼っていたのであるが、いわゆる部屋飼いで一切外には出さずに育てていて、こんなことを語りかけていた。「おまえはデカなるで。この部屋の半分くらい。食わんでや、俺」しかしそんな教育の甲斐なく子猫はぴったり猫サイズで成長を止めた。そのころ、まったく正しく猫は猫になり。犬は犬になり。春は夏になった。しかしながら俺の大学生活は迷走を続けて、いったい何になるのやら向かう先が見えないのだった。その夏である。大学2回生だ...
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【師匠シリーズ】どうして幽霊は鉄塔にのぼるのか

790名前:どうして幽霊は鉄塔にのぼるのか2006/08/28(月)21:33:50ID:9j0TgqFm0師匠が変なことを言うので、おもわず聞き返した。「だから鉄塔だって」大学1回生の秋ごろだったと思う。当時の俺はサークルの先輩でもあるオカルト道の師匠に、オカルトのイロハを教わっていた。ベタな話もあれば、中には師匠以外からはあまり聞いたことがないようなものも含まれている。その時も、テットーという単語の意味が一瞬分からず二度聞きをしてしまったのだった。「鉄塔。てっ・と・う。鉄の塔。アイアン・・・・・・なんだ、ピラァ?とにかく見たことないかな。夜中見上げてると、けっこういるよ」師匠が言うには、郊...
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【師匠シリーズ】四隅

770名前:四隅2006/08/28(月)20:24:24ID:9j0TgqFm0大学1回生の初秋。オカルト系のネット仲間と「合宿」と銘打ってオフ会を開いた。山間のキャンプ地で、「出る」という噂のロッジに泊まることにしたのである。オフ会は普段からよくあったのだが、泊まりとなると女性が多いこともあり、あまり変なメンバーを入れたくなかったので、ごく内輪の中心メンバーのみでの合宿となった。参加者はリーダー格のCoCoさん、京介さん、みかっちさんの女性陣に、俺を含めた計4人。言ってしまえば荷物持ち&力仕事専用の俺なわけだが、呼ばれたことは素直に嬉しかった。日程は1泊2日。レンタカーを借りて乗り込んだの...
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【師匠シリーズ】坂

456坂ウニ2006/06/03(土)12:46:17ID:3rNkYIQb0大学1回生の夏。『四次元坂』という地元ではわりと有名な心霊スポットに挑んだ。曰く、夜にその坂でギアをニュートラルに入れると車が坂道を登って行くというのだ。その噂を聞いて僕は俄然興奮した。いたのやら、いなかったのやら分からないようなお化けスポットとは違う。車が動くというのだから、なんだか凄いことのような気がするのだ。とはいえ一人では怖いので、二人の先輩を誘った。夜の1時。僕は人影のない最寄の駅の前でぼーっと立っていた。隣には僕が師匠と仰ぐオカルトマニアの変人。やはりぼーっと立っている。いつもなら僕がそんな話を持って行く...
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【師匠シリーズ】葬祭

446葬祭ウニ2006/06/03(土)12:33:26ID:3rNkYIQb0大学2年の夏休みに、知り合いの田舎へついて行った。ぜひ一緒に来い、というのでそうしたのだが、電車とバスを乗り継いで8時間もかかったのにはうんざりした。知り合いというのは大学で出会ったオカルト好きの先輩で、俺は師匠と呼んで畏敬したり小馬鹿にしたりしていた。彼がニヤニヤしながら「来い」というのでは行かないわけにはいかない。結局怖いものが見たいのだった。県境の山の中にある小さな村で、標高が高く夏だというのに肌寒さすら感じる。垣根に囲まれた平屋の家につくと、おばさんが出てきて「親戚だ」と紹介された。師匠はニコニコしていたが...
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【師匠シリーズ】写真

437写真ウニ2006/06/03(土)12:23:06ID:3rNkYIQb0大学2回生の春ごろ、オカルト道の師匠である先輩の家にふらっと遊びに行った。ドアを開けると狭い部屋の真ん中で、なにやら難しい顔をして写真を見ている。「なんの写真ですか」「心霊写真」ちょっと引いた。心霊写真がそんなに怖いわけではなかったが、問題は量なのだ。畳の床じゅうにアルバムがばらまかれて、数百枚はありそうだった。どこでこんなに!と問うと、「業者」と写真から目を離さずに言うのだ。どうやら大阪にそういう店があるらしい。お寺や神社に持ち込まれる心霊写真は、もちろんお払いをして欲しいということで依頼されるのだが、たいてい処...