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【洒落怖】髪の毛

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145 :本当にあった怖い名無し:2005/07/12(火) 22:08:11 ID:AzBCUbjV0
ちょうど一昨年の今ぐらいの時期なんだが、 
大学のサークルの友人Aが、「引っ越しをするので手伝ってくれ」と言ってきた。 
お礼に寿司をおごってくれるって言うのと、Aには世話になっている事もあって、俺は二つ返事で了解した。 

引っ越し当日、現場には俺とA、そして同じくサークルの友人のBとCの男4人で、引っ越し作業を片付けた。 
Aの引っ越し先は、2階建てアパートの1階の角部屋で、
玄関を入ると左に風呂とトイレ(風呂とトイレは別々)で、右にキッチン。 
正面に木枠にガラスがはまってるドアがあって、10畳の部屋があるという間取りだった。 

その日の夜は、4人で酒を飲んで、寿司を食いながら適当にダベって、床にザコ寝して、
次の日の朝に、B、Cと一緒に電車で帰った。 
その帰り道にCが、「Aの部屋って、すぐ隣の建物が神社だったよな。もしかして・・・出るんじゃねーの」とか、
ふざけて言っていたのを覚えている。 
まあ、覚えてるっていうか、忘れられなくなったと言うのが正しいか・・・ 

Aが引っ越して一週間くらい経った頃、学食でAとBと飯を食っている時に、
BがAに「新しい住まいはどーよ?結構いい部屋だったよなー」と聞いた。 
するとAは、「うーん。まあ部屋は広いし駅も近いし、悪くはないんだけど・・・」と、
何か言いたげな感じで言葉を濁したのが気になって、
俺は「なに。なんか変な事でもあるんか?幽霊とか」とか、冗談めかして言ったんだよ。 
そしたらAが、「いやー、なんか長い毛が良く落ちてるんだよね」って言ってきたんで、
「どうせ女でも連れ込んでんだろコノヤロー」とか、「外でくっついてきてんだろ」とか、
俺とBはあまり真剣に取り合わなかった。(ちなみにAは、女を連れ込んではいないと言っていた) 
自分以外の毛が落ちてたって、普通そんな気にすることでもないからだ。 
Aも「まあそれ以外なんもないし、やっぱたまたまかもな」と思い直したようで、
その日はそれで、Aの部屋の話は終わった。 

146 :本当にあった怖い名無し:2005/07/12(火) 22:08:48 ID:AzBCUbjV0
それからしばらくAは普段通りだったが、
二週間くらいが過ぎてから、妙に疲れているというか、やつれてきてるように見えるようになった。 
ちゃんと大学には来ているから、病気って事もないだろうし、 
何か悩みでもあって眠れないとか、そういう事かもしれないってんで、 
BとCと一緒にAを飲みに誘って、話を聞いてみる事にした。 

飲みながらAに「何かあったのか」と聞くと、Aが、
「言っても信じてもらえるかどうかわからないけど・・・
 前にお前(俺の事)とBに、髪の毛が落ちてるって話したじゃん? 
 んで、最初は外でくっついてるとか、そんなだろうって思ってたんだけど、どうにもおかしいんだよ。
 外でくっついてるなら、長さとかってまちまちだろ? 
 でも落ちてる毛って、どうも同じような長さのものばっかなんだよ。
 しかも、くっついてるとかなら、床に落ちてるのが普通なのに 
 コップの中とかトイレとか風呂場とか、とにかくどこにでも落ちてるんだぜ? 
 それに、段々毛が落ちてる頻度っていうか、量が増えてきてるんだよ。 
 それで、もうなんか気になって気になって、家にいても怖くて落ち着かないんだ」 
って話だした。 

俺とBは半信半疑というか、そんな変な事をすぐ信じる事もできなくて、 
「きっと偶然が重なって、疑心暗鬼になってるんじゃないのか」とか言ってたんだが、 
Aは「いや、そんなんじゃないんだよ。マジでおかしいんだって」って真顔で言い張る。 
そしたらCが、「それなら、これからAの家に行って見てみようぜ」って、好奇心丸出しな感じで言い出してきた。 
Aも「そうだな、見てもらった方が早いわ」って言うから、4人で飲み屋を出てAの家に行った。 

Aの家についた俺達は絶句した。 
Aの言った通り、流し台、風呂場、トイレ、部屋のそこらじゅうに毛が落ちている。 
Aも「・・・家を出る前はなかったんだぜ」って言うからCがまた興味を持ったらしく、
「ちょっとこの毛を集めて、長さとか色とか見てみようぜ」って言い出した。 
俺もこの時になって、怖さ半分興味半分で、
「そうだな。同じ毛かどうかくらいわかるかも」って、Bも促して4人で毛を集めることにした。 


147 :本当にあった怖い名無し:2005/07/12(火) 22:09:59 ID:AzBCUbjV0
10分くらい経ってようやく、目ぼしい所に落ちている毛を集める事ができた。 
集めた毛は白い紙の上に置いて、長さや色を適当にチェックしていった。 
あからさまに違う長さや、ちぢれた毛(あの毛だ)を取り除いていって、
残った毛をまとめる頃には、何か部屋の空気が重いというか、うすら寒いものになっていた気がした。 

重苦しい雰囲気の中、Bが「・・・同じだよな?」と、全員の顔を見ながらつぶやいた。 
確かに長さ、色、手触り等、素人判断ではあるが、同じ人間の毛としか思えなかったので、
俺もAもCも同意せざるを得なかった。 
Cが「うわ・・・やばいんじゃねーこれ」とか言い出したんで、Aが弱気になってしまい、 
「どうしよう、どうしたらいい?」とかオロオロしだした。 
俺は幽霊も見た事がないし、今までそういう体験も無かったので、幽霊が原因だとか、そういう風に結論づけずに、
あくまで物理的な原因が、必ずどこかにあるんじゃないかと思い、
Aに「そうそう幽霊とかって出ないだろうし、こうして毛って言う物質がここにあるんだから、絶対原因があるって」
と説得し、Aをなだめることに終始した。 

もう夜も遅いし、後日ちゃんと調べてみようという事になり、俺達は帰る事にした。 
部屋のドアを開けて玄関に向かう途中に、Bが「おい・・・ちょっ・・・これ・・・」と、
すごい顔で風呂場の中を指さしているので、中を覗いて見ると、
一握りくらいの毛の束が、風呂場に落ちていた。 
それを見た瞬間、背筋に走った悪寒は今でも忘れられない。 

4人全員が転がるように外に出て、近くのファミレスに入った。 
しばらくして落ち着いてきたので、さっき見た毛について話が始まった。 
確かに4人で部屋の中の毛を拾ったはず、
仮に取りこぼしがあったとしても、あんな目に付く毛の束を見逃すはずがない。 
と言うことは、俺たちが拾って、帰ろうと部屋を出るまでの間に落ちた、という事。 
あの部屋には4人しかいなかったし、外から人が入ってもすぐわかる。
Aは確定的な出来事を目にして、すっかりびびってるし、
BもCも俺も、恐怖と興奮で頭がいっぱいだった。 

149 :本当にあった怖い名無し:2005/07/12(火) 22:11:10 ID:AzBCUbjV0
4人で髪の毛を集めたり、長さを測ったりしてひっかき回したせいなのか、次の日事態は急変する事になる。 

朝になるまでファミレスで過ごし、Aはまだあの家に帰りたくないと言うのでBの家に行き、
Cと俺は一旦家に帰り、土曜日で休みなので、ひとまず寝てからまた集まろうという事になった。 

夕方に目が覚めて、しばらくするとBからメールが来て、
『19時にさっきのファミレスで集まろう』という流れになった。 
ファミレスで集まった俺達4人は、どうするか話し合い、とりあえずAの家の様子を見に行く事にした。 

Aの家は前日飛び出したまま、外から見ても電気が点けっぱなしなのがわかった。 
Aが鍵を開け、ドアを開ける。 
ドアが開くまでの瞬間は、何か身体が浮いているような感じで生きた心地がしなかった。 
ドアを開けるとまず玄関に、数本ではあるが毛が落ちていた。 
もう誰も何も言わない。 
風呂場を覗く、昨日の毛の束があるが、他は変わったところはなかったと思う。 
トイレ、台所、廊下には毛があった。
昨日、あれから誰も入っていないはず。しかし毛は落ちている。 
俺はもう内心「夢とかドッキリとかじゃないか。むしろそっちの方がいい」とか、
恐怖と興奮で、現実にいるのか夢にいるのか曖昧な感じだった。 

150 :本当にあった怖い名無し:2005/07/12(火) 22:12:24 ID:AzBCUbjV0
とりあえず部屋の中以外はチェックしたので、いよいよ部屋だと言う時に、
Aが「ヒュー」と、空気が漏れたような声(悲鳴だったのかもしれない)を出した。 
俺がAに「どうした?」と聞くと、Aは引きつった顔で部屋を仕切るガラスつきのドア越しに、
部屋の中を指差している。 
BとCと俺は、視線を部屋の中に移した。 
テーブルの上には昨日集めた毛の束がある。 
別に何かいるわけでも何でもない。 
俺は「別に何もいないぞ?」とAに言うと、Cが「窓・・・」とかすれた声で言った。 
Aの部屋の窓は上半分が普通のガラス、下半分が曇りガラスになっている。 
上半分には何もない。夜なので、すぐそこの物干し竿だけしか見えない。 
だが下半分。曇りガラスの向こう側にいた、座り込んでいる髪の長い女がいる。 
上が白い長袖のようなものなので、曇りガラス越しでも毛の長さがわかる。 
もう直感的に、「この毛はこの女のだ」と思った。 
今思えば、生身の女だったのかもしれないが(それはそれで怖いが)、はっきりと幽霊を見てしまった。 
あの時、全身の血が足の方に落ちていく感じがした。 
4人全員が悲鳴をあげるでもなく、震える足を引きずって、静かに静かに部屋を出た。 

151 :本当にあった怖い名無し:2005/07/12(火) 22:12:46 ID:AzBCUbjV0
その後Aは、引っ越すまで俺達の家を泊まり歩いた。 
俺達もあんなモノを見てしまったので、Aを泊める事は暗黙の了解になっていた。 
引っ越しの荷物をまとめるために、数回あの部屋に行く機会があったので、
オカルト板で見た『コップの中に日本酒を入れて置いておく』『盛り塩を部屋の4隅に置く』等を、
だめもとでやってみたのだが、次に部屋に訪れた時、
日本酒はかなり白く濁っており、盛り塩はカチカチになっていた。(これは湿気のせいかもしれないが) 
Aは引っ越した後、何事もなく今では普通に生活している。 
しかし、部屋に落ちている毛は今でも気になるらしい。 

結局、あの部屋のとなりが神社だった事との関連や、あの女が何だったのかは分からないままです。
まあ、分からない方がいいのかも・・・

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